宮城県 「農業や雇用の厳しい状況を踏まえ」、兼業農家支援に本腰

農業情報研究所(WAPIC)

09.2.3

  宮城県が新年度、「規模拡大を目指す兼業農家の農地集積を後押しする補助制度を県独自に設ける」ほか、米価下落や農外収入の減少に苦しむ兼業農家の支援事業に乗り出すそうである。

 国の農地集積補助制度では、2007年度から補助対象面積が1fという要件が設けられたために、年間計100f前後あった1f未満の農地集積が07年はゼロとなり、規模の小さい兼業農家は農地を集積しにくい状況になっている。そこで、「農地流動化促進事業」の名で県独自の農地集積支援制度を設ける。

 宮城県農林水産部は、「従来、認定農業者ら担い手の育成に重点を置いてきたが、今後は農業や雇用の厳しい状況を踏まえ、農村地域の大多数を占める兼業農家に焦点を当てた対策にも力を入れていきたい」としている、ということだ。

 宮城県、農地集積へ補助制度 新年度に兼業農家支援 河北新報 09.2.3
 http://www.kahoku.co.jp/news/2009/02/20090203t11027.htm

 兼業農家こそ、地方活性化の最大の担い手となるはずのものだ。「現在約4 6 0万へクタールの農地の3分の1にあたる1 5 0万ヘクタールを食料基地としてインフラ整備や環境対策を重点化し、1 0 0ヘクタール規模の農業経営を展開する経営体を1万程度育成する」(日本国際フォーラムグローバル化の中での日本農業の総合戦略 09.1.14)といった発想しか持たない改革論者や中央に任せておいては、地方と地域農業は潰れてしまう。

 彼らにとって、農村とは国民、実は大都会人の食料を確保するための”植民地”にすぎない。世界的食料危機で海外に自国民のための巨大食料基地を作ろうとする中東産油国などと基本的には変わらない。宮城の動きが”脱植民地主義”の第一歩となることを祈りたい。