インド農業の成長に陰り 土壌劣化、水不足、気候変動の問題に直面

農業情報研究所(WAPIC)

09.7.3

  7月2日にインド財務省が議会に提出した2008-09年エコノミック・サーベイによると、2007-08年までの3年間、年平均4.9%の高成長を続けてきたインド農業の成長率が、突如、1.6%ほどに落ち込む。

 2005-06〜2007-08年の主要食料作物生産は年1000万トンの増加を示したが、2008-09年は197万トンしか増えず、生産量は2億2385万トンにとどまり、目標の2億3300万トンに届かない。米、小麦は目標を僅かに下回るだけだが、豆類は8.5%、油料種子は11.4%、砂糖キビは14.9%、綿花は10.5%下回る。

 サーベイによると、農地拡張の余地は小さく、農場規模は縮小している。サトウキビのような一定の作物の場合には、作付面積と生産が年によって極端に変動する。豆類の場合には生産増加が需要の増加に追いつかず、国際市場の利用可能性が限定されているために、価格高騰につながっている。今後の長期的生産増加は収量改善に頼るほかないが、大部分の作物で大した収量改善は見られず、一部の作物では減少傾向さえ見られる。

 そして、最も注意を要するのは農業の持続可能性の問題だ、インド農業は、土壌侵食、加湿(湛水)化(water logging)、地下水位の低下、表流水灌漑の減退、気候変動の影響などの重大問題に直面していると指摘する。

 http://indiabudget.nic.in/es2008-09/agriculture.htm