日本 米消費が減退 それでも食料自給率を20年で60%にと赤松農相

農業情報研究所(WAPIC)

10.2.19

 以下は2月17日・18日にトップページに掲載した記事を転載したものである。

  (2月17日)総務省が16日に公表した2009年家計調査結果によると、2年連続で増加していた米の購入量が再び減少に転じた。代わってパン、麺類の購入量が増えていることからすると、小麦価格の低下を反映した動きと見られる。食料自給率の向上がまた遠のいた。


  (2月18日:追記)赤松農相が17日、東京都内で行われたシンポジウムで講演、「3月に策定する食料・農業・農村基本計画に盛り込む食料自給率(カロリーベース)目標について」、「10年後には50%、20年後にはなんとか60%。少なくとも日本の食料の半分以上は自国内で賄うことができるよう、基本計画に示していきたい」と述べたそうである(日本農業新聞)。そんなことができるだろうか。現在の消費構造を維持するかぎり、60%達成には現在(2008年)輸入している小麦(約520万トン)、大豆(約370万トン)、トウモロコシ(約1640万トン)の少なくとも半分以上を国内生産に切り替える必要がある。そのためには、現在の国内生産に比べ、少なくとも小麦生産は24倍、大豆生産は71倍に増やし、トウモロコシ生産はゼロから820万トン(あり得ないことだが、米国並みの単収を想定して82万ヘクタールの耕地が必要)に増やさねばならない。誰が見ても不可能だ。農相は、消費構造を変える以外方法がないと分かっているのだろうか。ともあれ、「基本計画」に盛り込む以上、そのための具体的手段を講じ、その実行を確保せねばならない。「品目別の具体的な生産・流通・消費対策とどう結び付ける」(日本農業新聞j)つもりだろうか。