農業情報研究所農業・農村・食料アジア・太平洋地域ニュース:2011年2月5日

中国が日本に次ぐ世界第二のトウモロコシ輸入国に? 通常30%の在庫が5%に落ち込んでいる 米穀物協会

 アメリカ穀物協会UGC)が2月3日に明らかにした予想によると、2011−12年の中国のトウモロコシ輸入は2010−11年の100万トンから一気に900万トンにまで膨れ上がる。

 中国は昨年、干ばつによる不作で、この15年来で最大のトウモロコシ輸入を余儀なくされた。この50年の歴史においても中国がトウモロコシの大量輸入に追い込まれたのは、300万トンを輸入した1978−79年と430万トンを輸入した1994−95年の二度に限られる。米国農務省(USDA)の最新(2011年1月)の推定によれば、世界最大のトウモロコシ輸入国・日本の2010−11年の輸入量は1610万トン、第二位の韓国が850万トン、第三位のメキシコが810万トンで、中国は100万トンにすぎない。それが一気に900万トンにまで跳ね上がるとすれば、世界トウモロコシ市場に与える影響は測りしれない。

 UGC会長が中国訪問後に語るところでは、「我々に与えられた推定は、中国では1000万−1500万トンの在庫不足が生じており、今年はトウモロコシを輸入する必要があるというものだった」。彼は輸入はおよそ900万トンになると指摘、「我々は、中国政府が通常は30%の在庫を保っているが、今は5%の在庫しかないと知った。このことからすると、300万トンから900万トン輸入することになる」と言う。

 Chinese corn imports forecast to soar ,FT.com,12.4
 http://www.ft.com/cms/s/0/be204aa2-304f-11e0-8d80-00144feabdc0.html#axzz1D2e2A0dS

 にわかには信じがたい話だが、食料価格抑制のために政府が国の在庫を放出したのち、中国国内需要は急増している。JPモルガン・チェース(ニューヨーク)の農産商品ストラテジストは、「中国の公式目標は戦略的備蓄を再建すること、それはすぐにも買い入れる必要があることを意味する」と言っている。

 Corn Jumps to 30-Month High on Improved Demand; Soybeans Fall,Bloomberg,2.4
 http://www.bloomberg.com/news/2011-02-04/corn-jumps-to-30-month-high-on-outlook-for-china-s-demand-soybeans-drop.html

 それにしても、900万トンという数字は余りに大きい。シカゴ先物相場の記録(08年6月16日、ブッシェル7.7ドル超=期近)更新にも十分だ。4日のシカゴ先物(期近)相場は前日を16セント上回るブッシェル6.784ドルまで上がった。08年6月11日から7月7日まで続いた7ドル台の期間を除けば、08年7月9日の6.83ドルに次ぐ史上3番目の記録だ。