農業情報研究所＞農業・農村・食料＞アジア・太平洋地域＞ニュース：2011年7月29日

原発事故で韓国の対日食品輸出が急増　物価高騰に悩む韓国消費者には追い討ち？

　韓国の対日食品輸出が記録的ペースで増えている。放射性物質汚染と供給の混乱で日本の消費者の海外生産物を選ぶようになったからだ。韓国国際貿易協会（KITA）によると、スイカ、ツナ、ヌードルの輸出に引っ張られ、今年第二四半期の対日食品輸出は年初に比べて38％も増加した。韓国品に対する需要の増加は、米国やEUの市場での不振の影響を和らげている。

日本財務省貿易統計によると、5月の日本の（すべての国からの）食品輸入は2008年9月以来最大の17.5％の伸びを示し、6月にも9.4％伸びた。

この12年間、日本に農産物と魚を輸出してきたソウルの貿易会社の社長は、「日本の需要増加は速すぎて韓国農民がついていけない」、「日本の一部生産者は農民と直接契約するために韓国にやってくる」と言っているということだ。

Radiation-Free Food Delivers Japanese Sales Boom to South Korean Exporters,Bloomberg,11.7.29

とはいえ、これは韓国にとっていいことばかりではない。韓国の食料価格上昇率は、今年に入ってもOECD諸国有数の��さだ（対前年比で、第一四半期が11.5％、第二四半期が7.4％）。それに加え、最近数日の大雨がソウルと周辺地域の輸送インフラを寸断、半島中央部の農業地域も大きな被害を受けた。野菜やその他の農産物の価格の一層の高騰が懸念される。

　Downpours prompt Seoul to step up anti-inflation efforts,Yonhap,7.29

日本の輸入増加は、物価高騰に悩む韓国消費者への追い討ちとなるかもしれない。