農業情報研究所>農業・農村・食料(アジア・太平洋地域)>2020年3月20日
新型コロナ 人の移動制限が中国農業・食料生産を脅かす
新型コロナウィルス感染を統御するための人の移動制限が、春耕シーズンを迎えた中国の農業生産に暗い影を落とし、深刻な食料不足・インフレへの懸念をかきたてている。
フィナンシャル・タイムズ紙の報道によると、人と物資の移動制限がもたらす労働力と肥料の不足で例年のような春耕作業を実行するのが難しくなっている。
中国の春耕作業は移住労働者深く依存している。その移住労働者がやってこなくなってしまった。
農家は肥料と種子の不足にも直面している。国最大の肥料生産省・湖北省は新型コロナ勃発の中心地であり、新たな感染者の数は減少しつつあるものの維持されている旅行制限の結果として、工場再開に苦闘している。国の穀物の大部分を生産する東北諸省は1300万トン―年消費量の40%―のリン酸肥料不足に直面している。
アナリストは、来るべき30日以内にこの不足が和らげられなければ、農業生産、特に穀物の生産高を安全なレベルに保つのは難しくなり、2月、年21.9%を記録した食料インフレが加速する恐れがあるという。
北京に本拠を置く専門家は、中国人民は、豚肉価格が2倍になったときには不平を言っただけだが、米価が高騰することになれば反共産党に立ち上がるだろうと言っている。
Farm planting season hit by
travel restriction on wokers,Financial Times,20.3.19,p.4
China farmers fear food shortage after coronavirus controls,FT.com,20.3.18
<これは外国人実習生に頼る日本農水産業への警告でもあると心得るべきである。→農業実習生170人来道できず 新型コロナ 人手不足で減産の懸念も
北海道新聞 20.3.14
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