農業情報研究所農業・農村・食料アジア・太平洋地域)>2021113

 

インド最高裁 自由主義モディ農業改革にブレーキ

 

インド最高裁がモディ政府の農業改革法の実施にブレーキをかけた。改革法は、農民産品の交易・商取引法―The Farmers’ Produce Trade and Commerce (Promotion and Facilitation) Act、必須商品(修正)法―The Essential Commodities (Amendment) Act、価格保証及び農業サービスに関する農民(地位向上・保護)法の三つから成り、政府はこれが農民の生活改善と所得向上につながると主張している。

 

 しかし、農民たちは、3法は農業の規制撤廃と私的競争を促すもので、農民は国による保護を奪われ、強大な企業の支配下の置かれることになると猛反対を続けてきた。多くは少数派シク教徒からなる何千もの農民が首都に通じる道路上でキャンプ、首都への主要な入り口を封鎖するという“平和的”抗議行動を続けている。

 

 これまでの8回の交渉が行われたがすべて決裂、最高裁によれば抗議者、特に高齢者、婦人、子どもは寒さや新型コロナによる健康被害に曝されている。暴力ではない、病気や自殺による死者も出始めている。

 

 最高裁はこの「異常な」情況に終止符を打つべく、法に対する不満の理由と政府の言い分を聴き、勧告を行う4人のメンバーから成る専門家委員会を作ることにした。そうすることで融和的雰囲気を作り出し、農民の信頼感を醸成するという。

 

 

 農業改革は遅れるだろう。ただ、首相が改革を取り下げるとも思えない。専門家は、最高栽に法執行を止める権限はない、モディ政府が時間を稼ぐだけだろうと見る。農民は故郷に帰るだろうか。

 

 Indian Farmers Vow to Continue Protest, Unappeased by Court Ruling,The New York Times,21.1.13

 Farmers’ protest | Supreme Court stays implementation of 3 controversial farm laws,The Hindu,21.1.13

 India’s Supreme Court suspends contentious farm laws,FT.com,21.1.12