農業情報研究所

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コーヒー価格下落で多角化を模索(国際コーヒー機関)

農業情報研究所(WAPIC)

02.5.21

 国際コーヒー機関(ICO)は、今週のロンドンでの会議で、生産国の経済をコーヒー価格の下落から救出するために、これら諸国経済をいかに多角化するかを論議する。供給過剰により、昨年のコーヒー価格はこの30年間で最低を記録した。アジア、特にベトナムの急速な生産増加で、2001年10月までの5年間で、世界市場価格は65%下落した。ICO加盟国のコーヒー輸出額はこの3年間で半減、特にコーヒーその他の一次産品に大きく依存するアフリカ諸国の輸出額は58%も減った。多くのアジア途上国では多角化が進み、アジアほどではないとしてもラテン・アメリカでも同様の動きがある。しかし、アフリカ諸国は、過去30年間、多角化に成功しておらず、ブルンジ・ルワンダ・ウガンダ・エチオピアのコーヒー輸出への依存度は特に高い。昨年の輸出保留の努力も実らなかった。ICOは、農民が、コーヒー生産を停止した土地の一部で食用作物を栽培するのを支援するように要請している(Coffee growers seek to ease dependence as price slumps ,scmp.com,5.20)。
 フランスの「ウエスト・フランス」紙によれば(La fragilité des producteurs de café,Ouest-France,5.20)、価格下落がアフリカに与えた経済的・社会的影響は甚大で、農村地域の貧困化が進み、プランテーションは「純粋に、単純に」放棄され、経営管理の悪化による病害の増加がコーヒーの品質を低下させ、従って相場の一層の下落につながっている。この記事の書き出しはこうである。「消費者は何の利益も得ていないが、コーヒー相場は1997年と2001年の間に65%下落した。アフリカと南アメリカの生産国経済は不安定化する一方である」。
 なお、関連して、3月の「:グローバリゼーション:ニュースと論調」に掲げた記事をここに再掲しておく。

 貧しい農民、成功を味わうPoor farmers taste success,FT com,3.4)
 市場価格を十分に上回る最低保証価格に加え、社会開発のためのプレミアムを支払うフェア・トレードがヨーロッパを中心に発展しているが、貿易全体に占める比重はなお微小。ネスレ等の大量販売製造者の参入がなければこの状態を抜け出すのは難しいが、この業界はフェア・トレードは大量販売にむかないといっている。

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