小麦キラー・サビ病菌 アジア主要小麦生産地に迫る 世界食料供給への破滅的影響も

農業情報研究所(WAPIC)

08.3.6

 穀物・食料品価格の高騰で、アフリカ、アジアをはじめ、世界中がマルサスの亡霊に怯えるなか、小麦生産に壊滅的な打撃を与えかねないウガンダ発の小麦黒さび病菌・Ug99(→新たな小麦病の世界的蔓延に警告 世界食糧危機の恐れもー世界サビ病イニシアティブ,05.9.10)が、遂にイランの主要小麦生産地域に現われた。1999年にウガンダで発見されたこのカビは、風によってはるか遠くまで運ばれる。2007年、ケニヤとエチオピアの小麦収量を大きく減らすとともに、海を渡ってイエーメンにまで広がった。そして、5日、国連食糧農業機関(FAO)が遂にイランでも発見されたと発表した。

 Wheat killer detected in Iran,FAO,08.3.5
 http://www.fao.org/newsroom/en/news/2008/1000805/index.html

 FAOによると、このカビは、襲われた小麦畑の収穫を全滅さえさせる。そして、今や、イランの東に広がるアフガニスタン、インド、パキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、カザフスタンにも広がる危険が迫っている。これらの国は世界の主要小麦生産地域の一つをなす。ところが、アジアとアフリカのすべての小麦品種の80%はこれに対する抵抗性を持たない。

 となると、この地域にこの菌が広がれば、世界は間違いなく飢餓に直面することになる。

 FAOのShivaji Pandey植物生産・保護局長は、「この菌は急速に広がっており、リスクに直接曝された国の小麦生産に深刻な打撃を与える恐れがある。すでに食料価格高騰に襲われている国々のリスクを減らすために、感染国と国際社会は、その拡散を制するように、万全を期さねばならない」と言う。

 世界中の小麦サビ病と闘うために設立されたボーローグ・グローバル・ラスト・イニシアティブ(BGRI)が、抵抗性品種の開発、その清浄な種子の生産、国の植物保護・植物育種事業の改良などで各国を支援する。ただ、感染国とリスク国の農民が利用できる長期持続抵抗性品種の開発には一層の努力が必要という。