フランスで不耕起栽培が急増 労働・エネルギーの節約や土壌保全が動機

農業情報研究所(WAPIC)

08.2.11

 フランス耕種農業における不耕起栽培の面積比率が2006年に3分の1に達した。2001年には21%だったから、この5年、不耕起栽培が急速に普及したことになる。不耕起栽培の比率が58%と特に高い硬質小麦では01年にすでにこのレベルに達していたが、最近は特に菜種、軟質小麦、大麦での拡大が著しく、それぞれ35%→47%、25%→44%、17%→28%といった増加ぶりだ。また、不耕起栽培は大規模経営ほど多く、たとえば50f未満経営では軟質小麦で29%、全作物で20%の普及率だが、400f以上の経営ではそれぞれ74%、58%となる。2月7日に発表された農業省統計研究局(Agreste)の研究*が明らかにした。

 *Un tiers des grandes cultures semées en 2006 sans retournement des sols - Dans le sillon du non-labour - Agreste Primeur N 207
  http://agreste.agriculture.gouv.fr/IMG/pdf/primeur207.pdf

  このような農法改変の動機としては、労働時間の節約、投入エネルギーや物財の節約(1fあたり20−40リットルの燃料が節約できるという)、土壌保護の改善(侵食の軽減)など、様々な経済的・環境的動機が考えられるという。不耕起により傾斜地土壌の侵食が減るだけでなく、耕作跡地に残された作物残滓のお陰で雨水による土壌流亡も減る。  

 ただ、耕起がなかなか止められないのは、それが大きな除草機能を持つからだ。不耕起では除草剤への依存が増える。例えば、2006年、軟質小麦の不耕起栽培における除草剤施用は平均で1.7回だが、耕起栽培では1.4となっている。

 有機栽培でしばしば使われる機械除草(写真)や輪作という代替法があるが、これは例外的にしか採用されていない。不耕起栽培の採用自体も必ずしも確実に定着したとは言い切れないそうだ。  

  ただし、収量に関しては大差はない。軟質小麦では4%程度劣るだけということだ。