米国小売大手 養殖鮭の販売を停止 養殖は環境に悪影響 すべてアラスカの天然ものに

農業情報研究所(WAPIC)

10.1.27

 アメリカのディスカウント量販店であるTargetが26日、鮭養殖の環境への悪影響を理由に、その店舗での養殖鮭の販売を停止すると発表した。「その鮭提供が、豊かさと種の健康を保全し・地場生息環境を傷つけない持続可能な方法で調達されるように」、自社ブランドの生鮮・冷凍・スモーク鮭はアラスカで漁獲される野生のものにするという。

 鮭養殖は過去30年の間に劇的に拡大、アメリカで消費される生鮮・冷凍鮭の4分の3が養殖もので占められるまでになった。他方、安価な養殖ものにおされ、アラスカの野生鮭漁獲は大きく減り、漁獲価額は1980年代末の半分以下に落ち込んでいいる。

 グリーンピースUSAは2008年、鮭養殖が容認できない環境汚染・破壊を引き起こしていると、持続可能なシーフード調達方法を採用するように小売業者に圧力をかける運動を始めた。しかし、小売業者は、一般的に、周年利用できる手頃な値段の鮭の需要に応じるためには養殖鮭を使う必要があると論じてきた。

 Targetは鮭をどれだけ売るか明らかにしていないが、1700の店舗のうちの1500の店舗で冷凍・生鮮鮭を提供している。グリーンピースは、野生鮭だけで現在の需要を満たすのは不可能と認めるが、野生鮭の需要増加が漁業の発展を支える一方、価格上昇が需要を持続可能なレベルに押し下げると言う。

 過去数年、ウォルマートやホールフーズ(自然・有機食品スーパー)も含むTargetのライバル小売業者も、シーフード調達の持続可能性に注意を向けるようになっている。ウォルマートは養殖鮭の販売を続けるが、天然ものシーフードのすべてを海洋保護委員会が「持続可能」と認証した漁業から調達することになろうと言っているそうである。、

 Target goes wild for salmon,FT.com,1.26
 http://www.ft.com/cms/s/0/9ee49c3e-0aac-11df-b35f-00144feabdc0.html

 残念ながら、日本では、スーパーの棚で大半を占めるチリ養殖鮭が海洋環境をどれほど痛めつけいるか知る消費者は、極めて稀なように見える。