FAO、干ばつと砂漠バッタによる西アフリカの食糧不足に警告

農業情報研究所(WAPIC)

05.5.11

 国連食糧農業機関(FAO)が10日、2004年以来の干ばつと砂漠バッタによる被害が西アフリカ6ヵ国(ブルキナ・ファソ、チャド、マリ、モーリタニア、ニジェール、北部セネガル)の食糧不足を重大化していると警告を発した。被災国の農業生産と牧畜民を助けるために1140万ドル(約12億円)の援助が必要と訴えているが、これまでのところ、イタリア、ノルウェー、米国が種子、動物飼料、獣医サービスのために210万ドルを提供した。状況悪化に対応するためには一層の資金が緊急に必要だという(FAO,Worsening food situation in parts of the Sahel;http://www.fao.org/newsroom/en/news/2005/102396/index.html)。

 雑穀価格は急騰を続ける一方、家畜価格は低下している。家畜生産の条件は牧草と水の欠乏のために悪化を続けている。水と餌を求めての家畜の移動は、既に地域紛争を惹き起こしているという。

 貧困家庭や牧畜民が基礎食糧を手に入れることは困難になりつつあり、子供の深刻な栄養不良が急速に広がっている。マリ北東部・キダル地方からの報告では、3歳以下の子供の3分の1が厳しい栄養不良に見舞われている。ニジェールでは、3000ほどの村の推定250万人が食糧不足に直面している。政府はこれらの村で補助価格の穀物を販売しているが、全体的な食糧事情への影響は限定されている。ユニセフは、ニジェールの75万の子供―そのうち15万は厳しい影響不良の症候を示している―を養うための基金を募っている。

 ブルキナ・ファソでは、政府が被災町村に穀物を配布した。マリ政府は動物飼料1万5000トンの販売を補助、チャドでは穀物販売補助がまもなく始まると期待される。栄養不良の広がりが報告されているマリでは、公共事業への参加者に食糧を配布する国連世界食糧計画(WFP)の”Food for Work”プログラムがスタートする。EUが資金を供給する食糧配布もすぐにスタートすると期待されている。

 FAOは、迫りつつある欠乏季のために追加食糧援助とともに、家畜飼料補助、家畜群の安全な通行地域、家畜衛生プログラムが緊急に必要だと訴えている。また、農民家族は、5月末から6月に始まる次期栽培のために、種子その他の農業資材も必要としていると言う。

 このような食糧不足と栄養不良が広がるのは、西アフリカだけではない。紛争、エイズの蔓延など、原因は干ばつだけではないが、長年続く干ばつの影響は、今年はさらに厳しさを増しているようだ。今年4月にFAOが発表した「サブサハラ・アフリカにおける食糧供給状況と収穫見通し」(http://www.fao.org/documents/show_cdr.asp?url_file=/docrep/007/J4758e/J4758e00.htm)によると、全体で23ヵ国が食糧緊急事態に直面している。これら諸国を示すマップによると、全体または一部が干ばつを主因としてこの緊急事態に直面している国(地域)として、エリトリア、エチオピア、ケニヤ、マダカスカル南部、マラウィ、モーリタニア(砂漠バッタ被害も)、ソマリア、スーダン、スワジランド、タンザニアが掲げられている。そのほか、ザンビア、ジンバブエなどでも厳しい干ばつが報告されている。

 地球温暖化は、とりわけアフリカを中心とする途上国の作物・食糧生産に深刻な影響を及ぼすと予測されているが、それは既に現実となっているかの如き様相だ。