ガーナで米価が”天文学的”高騰 日本では政府輸入米でエタノール生産
09.4.24
過去3ヵ月の米製品価格の不断の上昇が 首都・アクラに次ぐガーナの大都市・クマシの住民の心配の種になってきた。一部住民、特に製品の消費者や小売業者は、毎日の”天文学的価格上昇”に眉を吊り上げているという。
Ghanaian Chronicle紙の調査によると、過去3ヵ月、米製品価格が”途方もなく”上昇していることが分かった。
昨年12月には5キロ6.50-7¢（セディ、ガーナの通貨単位）で小売されていたベトナム米は、今では11¢と倍近くになっている。41¢だった50キロの袋の卸売価格は47¢になった。3ヵ月前には卸売価格、小売価格がそれぞれ43¢、45¢だった同量のタイ米価格は、今や49¢と51¢で売られている。その他のブランドの米も同様だ。
インタビューに匿名で答えた一部小売業者は、セディの対ドル安や前政府が廃止した輸入関税の復活につながった政府の貧弱な経済政策に原因があると言う。彼らは、この状況が、過去去3ヵ月、インフレを理由に信用による供給を拒否したきた供給業者との絶え間ない衝突につながっていると訴える。
Kumasi
residents protest over high rice prices,Ghanaian Chronicle,4.22
http://www.ghanaian-chronicle.com/thestory.asp?id=11557&title=<b>Kumasi%20residents%20%20protest%20over%20high%20rice%20prices</b>
このような事態はガーナ一国にとどまるものではない。23日に発表された国連食糧農業機関（FAO）の「作物見通しと食料情勢」（09年4月）によると、世界の穀物供給の改善と国際価格の急激な低下にもかかわらず、途上国の（基礎）食料価格は一向に低下しておらず、却って記録的レベルに上昇しているところもある。
作物見通しによれば、09/10年の世界穀物生産は3.1％減少するが（低価格による小麦作付の減少、米は多少の増加）、08/09の記録的生産と経済後退による穀物・飼料・バイオ燃料用需要の減退で、08/09年の在庫は消費に対する比率で前期の20.2％から24.6％に膨れ上がる。来期の穀物生産減少は、国際価格の大した引き上げ要因にはならないだろう。それにもかかわらず、国内生産の不足、通貨変動、厳しい貿易金融による輸入の困難などが途上国食料品価格を吊り上げ、高止まりさせることになりそうだ。
食料情勢は次のとおりだ。
FAOが最近立ち上げた58途上国の国内基礎食料品価格データベース（http://www.fao.org/giews/pricetool/）に含まれる790の国内相場のうち、最新の相場が12ヵ月前より高かったのが78％、3ヵ月前より高かったのが43％あり、17％は過去最高だった。特にサブサハラ・アフリカでは、すべての国の国内米価が12ヵ月前より高く、トウモロコシ、ミレット、ソルガムの価格も89％の国で1年前より高かった。食料価格は、特にアジアの米、中南米のトウモロコシと小麦など、他の地域でも高止まりしている。
これは、都市貧民や食料を購入に頼らねばならない農民、さらに世界的経済後退で海外で働く家族からの送金が途絶えてしまった家族に最悪の影響を与えている。
アジアでは、特にアフガニスタン、スリランカ、ミャンマー、北朝鮮の食料事情が危機的だ。
東アフリカでは、収穫減少や紛争で、1700万人が食料危機に直面している。ソマリアでは320万人が食料援助を必要としていると推定され、スーダンでは、ダルフールの紛争と一部人道援助機関の追放で、数百万の人々が飢餓に直面している。
南部アフリカでは、高価格とスローペースの輸入が870万の人々の食料確保を脅かしている。
Crop
Prospects and Food Situation, No. 2, April 09
http://www.fao.org/docrep/011/ai481e/ai481e00.htm
ガーナが米価高騰に苦しむとき、日本ではオエノングループが今年、政府輸入米を使ったエタノールの製造を始めるそうである。政府在庫の1万2000トンの外米を使って、12月までに5000ｋｌのエタノールを生産する。来年は生産量を倍増、2011年の生産能力は1万5000ｋｌにするという。
Sake Brewer Oenon to Make
Biofuel From Imported Rice,Bloomberg,4.23
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601101&sid=aUPJ06q4IdrE