干ばつによる穀物不作 アメリカだけではない ロシアでも高まる懸念

農業情報研究所 2012年月28

 ロシア農業省が26日、2012年のロシアの穀物収穫が干ばつで大損害を受けつつあると発表した。最初に収穫が完了した最南部の重要農業地域であるクラスノダール地方の収穫量は昨年のおよそ3分の1ほどという(昨年の900万トンに対して500万トンという報道もある。いずれにせよ、大幅減収だ)。

 Drought ruining crops in Russia,UPI,7.26

 別の報道によると、干ばつに関連した非常事態を宣言する地域(州)が増えており、今年の公式収穫予想が日に日に楽観的にすぎるように見えてきたという。27日には、昨年は国で5番目の穀物生産地域であったアルタイ共和国が非常事態宣言を出した。

 先週、農業省は今年の収穫予想を、豊作だった昨年を1015%下回る8000万〜8500万トンに引き下げた。しかし、8000万トンを下回るという予想が多い。モスクワのアメリカ・メリルリンチ銀行のエコノミストによると、国全体の現在の収量は昨年同期に比べて30%少ない。

 破滅的干ばつに襲われた2年前、政府の収穫予想修正は遅かった。予想を8500万トンから70007500万トンに切り下げたのが83日、その二日後、プーチン首相(当時)が穀物輸出禁止を発表した。それが小麦をはじめとする穀物価格の世界的急騰につながった。

 今年はどうか。ロシアの年間穀物消費量は7200万トンだから、収穫予想がこれを下回れば輸出が禁止されることになろう。農業省は、今年は輸出禁止の計画はなく、1600万トンの輸出を維持すると言っている。ただ、先のメリルリンチのエコノミストは、政府が国内市場を価格急上昇から守らざるを得なくなれば輸出禁止となるだろう、すでに食料インフレが始まっていると言う。

 大規模森林火災の引き金ともなる焦げ付くような天候は、ロシア南部とヴォルガ地域だけでなく、収穫が遅いウラル南部や西シベリアにも広がっているということだ。

 Harvest Forecasts Fall as Drought Hangs On,Moscow Times,7.27