農業情報研究所>農業・農村・食料>食糧問題>ニュース:2013年8月15日-20日(グラフ追加)
肉食とバイオ燃料をやめれば新たに40億人を養える ミネソタ大学の新研究
ミネソタ大学環境研究所(IonE)の新たな研究によると、世界全体でみると、農地作物(農業)が生産するカロリーの36%が家畜に与えられている。家畜に与える穀物を半分に減らすことで、新たに20億の人を養うことができる。バイオ燃料作物のカロリーは2000年から2010年の間に4倍に増え、生産されるカロリーの4%を占めるに至っている。家畜飼料とバイオ燃料を生産するための農地を人間の食料を直接生産する農地に転換すれば、新たに40億の人を養うことができる。
家畜飼料生産のための農地の人間食料生産のための農地への転換で、人間が利用できる蛋白質の量も増える。現在、世界全体では、作物が生産する蛋白質の53%(米国では80%、ブラジルで79%、中国で42%、インドで18%)が家畜に与えれている。人間が動物製品ではなく、作物(植物)から直接摂取すれば、蛋白質も必要量を十分に満たすことができる。
作物(植物)の利用可能カロリーは、飼料を通しての乳製品への転換で40%しか利用できない(カロリー転換効率が40%)。卵 、鶏肉、豚肉、牛肉のカロリー転換効率も、それぞれ22%、12%、10%、牛肉3%と計算される(米国における畜産の現実から)。同様に、蛋白質転換効率は、43%、35%、40%、10%、牛肉で5% と計算される。利用可能な食料(栄養=カロリーと蛋白質)を増やすには牛肉消費を減らすのが最も効果的だ。豚肉や鶏肉に切り替えるだけでも大きな効果が期待できる。
研究者は、作物の家畜飼料とバイオ燃料への配分を少し変えるだけでも、世界の食料利用可能性は大きく増え、世界食料安全保障の確保の挑戦に応える手段になと言う。
Emily Cassidy et al,Redefining agricultural
yields:from tonnes to peaple nourished per Hectare,Environmental
Research Letters ,8(2013)
http://iopscience.iop.org/1748-9326/8/3/034015/pdf/1748-9326_8_3_034015.pdf
しかし、世界の食の嗜好は、ますます肉食、しかも、牛肉に向いている(先進国ではこのトレンドに一定の変化―赤肉から白肉へ―もみられるが)。本能の赴くまま、人間も動物と変わらない。(それが悪いというつもりはない。それしかできないのだから)
(データ出所:FAOSTAT)