農業情報研究所>農業・農村・食料>食糧問題>ニュース:2014年月2月28日
食品の大量のロスと廃棄が貧困削減を妨げる 世銀報告
世界銀行が2月27日、食品のロスと廃棄に焦点を当てた報告書=”食料価格ウォッチ”を発表した。国際的に取引される食料商品の価格は2012年8月にピークに達した後、下がり続けている。しかし、2006−2007年までのかつてのピークをなお大きく上まわるなか、世界で生産される食料の最大で3分の1までが消費前に失われ(ロス)、あるいは廃棄されれており、それが貧困削減の重大な障害になっているという。
Press Release:Food
Loss and Waste a Barrier to Poverty Reduction
Full Report:http://www.worldbank.org/content/dam/Worldbank/document/Poverty%20documents/FPW%20Feb%202014%20final.pdf
アフリカや南アジアなど、栄養不足が常態となっている地域では、熱量で計算した食品のロスは一人一日当たり400カロリーから500カロリーとされる。先進国では、この数字は750カロリーから1500カロリーにもなる。カロリーベースでは、捨てられる食品のの半分以上(53%)は穀物である。重量ベースでは果実と野菜が最大の比重を占める。
ロスと廃棄がフードチェーンのどこで起きるかは地域により異なる。
北米では、61%のロスが消費段階で起きる(購入されたのち冷蔵庫で腐るなど)。大規模スーパーの商品仕入れ政策が食品の過剰生産を促し、販促キャンペーンが消費者の過剰購入を招く。
サブサハラ・アフリカでは、消費段階でのロスは5%にすぎない。大部分のロスは生産・加工段階で生じる。
報告は、このような食品のロスと廃棄は、経済・エネルギー・自然資源(水など)の巨大な無駄使いを生むと言う。しかし、どうしたらロスや廃棄を減らすことができるのだろう。報告は、農業生産技術の改良、輸送・貯蔵インフラへの大規模投資、消費者と販売行動の変化をあげる。どれもこれも、特に最後の解決策は、言うは易く、行うは難しである。前から言われてきたことだが、改善の兆しは一向に見えない。
参考までに。
食料・水問題の解決には食料損失・廃棄の削減が決定的に重要ー新研究,08.5.26
FAO 収穫後損失が飢餓を重大化 投資と訓練で損失は劇的に減る,09.11.4
世界で生産される食料の3分の1、穀物生産量の半分以上が棄てられている FAO委嘱の新研究,11.5.12