農業情報研究所農業・農村・食料食糧問題ニュース:2014年月3月5日

ロシア軍クリミア進出で国際穀物価格が急騰の兆し 日本も安閑としていられない

 このところ落ち着いていた国際穀物価格が、ウクライナの政変、ロシア軍のクリミア進出で急上昇の気配を見せている。

 肥沃な黒土に恵まれた黒海地域に含まれるウクライナは、世界の主要穀物の重要な生産地であり、輸出ハブでもある。小麦の生産量は年2000万トン以上でオーストラリアに匹敵、その半分ほどが輸出に向けられる。加えて、トウモロコシや大麦などの飼料穀物の輸出国としても重要性を増している。昨年の黒海地域の小麦輸出は、世界全体の小麦輸出の4分の1を占めるに至っている。そういう黒海穀物の輸出がロシア軍の介入で危機に曝されるかもしれない。

 こうした世界穀物供給への懸念からか、先週末(2月28日)、ブッシェル4.634ドルだったシカゴ・トウモロコシ先物相場(最も取引が盛んな5月14日限)は、3月4日には4.842ドルと、一気に4.5%も跳ね上がった。同じく小麦も、6.022ドルから6.434ドルへと6.8%も跳ね上がった。シカゴだけではない。同じ期間に、ロンドン先物市場の飼料用小麦も3.7%、パリ市場のトウモロコシは2.7%、製粉用小麦は3.9%の急騰だ。ウクライナとロシアの対立の深刻さからすれば、このような穀物情勢は一過性のものにとどまらないかもしれない。

 詳しくは別の機会に譲るが、オーストラリアの干ばつ、ブラジルの荒天と干ばつなど、供給面での懸念材料はほかにもある。

 需要面では、中国が穀物自給政策を放棄した、少なくとも従来のように輸入を抑えることはやめるといった話がある。中国政府は今年2月10日、国民の「栄養改善」(食品の質の向上)を主眼とし、穀物(米、小麦、トウモロコシ)の生産は2020年まで現状レベルにとどめるとも受け取れる食品産業開発のガイドラインを発したからだ。大豆だけでなく、これらこ穀物の輸入依存にも歯止めがかからなく恐れがある。

 China to improve population's nutrition,Xinhua,14.2.10
 China axes grain self-sufficiency policy,FT.com,14.2.11
 Chinese consume too much food from animals, experts say,China Daily,14.2.13
 Change in China's Grain Policy
,soya,tech.com,14.2.19

 ラボバンク・インターナショナルによれば、インドネシアの小麦輸入は、所得上昇で米消費が減り、ヌードル・ケーキ・クッキーの需要が急増する結果、5年以内に世界一の小麦輸入国・エジプトに匹敵する年1000万トンに達するだろうという。

   Indonesians Buying Bread to Spur Wheat Imports on Egyptian Scale,14.3.5

 米以外の穀物の大部分を輸入に頼る日本、安閑としていられないときの再来も近いかもしれない。