農業情報研究所>農業・農村・食料>食糧問題>ニュース:2014年月3月6日
ウクライナの混乱 世界穀物地図は再び米国頼みに?
ウクライナの政治的混乱が米国の穀物輸出を後押しすることになりそうだ。
Bloombergが報じるところでは、ウクライナ農民は、平価切下げのリスクを避けるために、既に穀物を抱え込んでいる。アジアのバイヤーは供給途絶を恐れて東欧からの購入をためらう。
ウクライナ通貨・フリヴニャは今年、ドルに対して12%下がった。通貨下落は輸入生産資材のコストを押し上げる一方、保管されている穀物の価額を引き上げる。港は開いており、荷を積む船はあっても、輸出は次第に難しくなっている。米国農務省は、今季のウクライナの穀物輸出量を1850万トンと見込んだが、まだ500万トンが国から出ていない。
政情不安定は、米国に対し、北アフリカ、中東、中国への追加輸出の機会をもたらす。アジアのバイヤーは、ロシアとウクライナからの新たな購入を避け、米国等からの購入に向かうだろう。
ウクライナの今年のトウモロコシ生産にも大きな期待はできない。トウモロコシ作付は今から1−1.5ヵ月後に始まるが、信用収縮で農民は望む面積の作付けができない恐れがある。さらに、中・東部では干ばつ傾向も強まっているという。
Ukraine Turmoil Seen Boosting U.S. Grain Exports as Corn Rallies,Bloomberg,14.3.6
ここ数年、ウクライナは米国を中心に置く世界穀物地図を大きく塗り変えてきた(ウクライナのトウモロコシ輸出が倍増の予測 米国トウモロコシの価格上昇に歯止めの可能性(世界食料日誌),11.9.3;ウクライナ 今年末から対中国トウモロコシ輸出可能に(世界食料日誌),12.11.13;ウクライナが米国にのトウモロコシを輸出?! 世界穀物地図が激変?(世界食料日誌),12.12.20)。この穀物地図の変化は、しばらくお休みとなりそうだ。しかし、米国(とカナダ、オーストラリア)は、膨れ上がる世界の胃袋をどこまで満たせるのだろうか。ここも毎年、激乾・激寒・常習化した水不足に悩まされている。