農業情報研究所農業・農業・食料日本17811

農産物 輸出が500億円増えて貿易赤字は1500憶円増加 ニュースにもならない輸入増加

 

2017年上半期(1-6月)の日本の農林水産物(飲食品を含む)輸出が前年同期に比べて4.5%増えたことがニュースになっている。例えば日本農業新聞、これを大きく取り上げ、「加工食品を含む農産物全体では2284億円で前年同期から2%増。米は27%増の15億円(5600トン)。玄米はシンガポールや香港などの高所得者層向けの販売を強化。「日本食ブームで現地の和食レストランなどが仕入れを強めている」

 
 牛肉は57%増の78億円で米国などが好調だった。すき焼きなど日本の食べ方も含めた販売促進の効果が出ている。茶も健康食ブームで68億円と27%増えた。一方、リンゴは昨年の青森県産の作柄が悪く、輸出額、量共に3割減少した。
海外の日本食人気や販売促進の強化で米や牛肉、茶などの輸出が好調だった」などと報じている(農産物輸出4.5%増 米、牛肉、茶が好調 17年上半期 日本農業新聞 18.8.11)。

 

しかし、この程度の輸出増加が、またそれが1兆円という政府目標を達成した」としたも、日本の農業や農家、あるいは食料事情にとってどれほど意味があるというのだろうか。そういう意味では、輸入の増加の方がずっと大きなニュースバリューがある。にもかかわらず、農水省もマスコミも、それについては、何も報じようとしない。この際、輸出に対比しての輸入の動向を見ておこうと思う(データ出所は財務省貿易統計)。

 

農林水産物(総計)の輸入額は4兆5472億円(輸入額は3779億円)で前年同期に比べて5.8%増えた(輸出額は4.5%の増加)。農産物計の輸入額は31492億円(前年同期比6.8%増)で、輸出額は2884億円(同2.0%増)だった。輸出額は輸入額の1割にも満たず、輸入額の増加率は輸出額増加率の3.4倍にも達した。その結果、輸出が500億円余り増えたにもかかわらず、貿易赤字が27170億円(231729487)から28650億円(284231492)と1500億円ほど増えた。

 

その意味するところは、国産農産物の市場がそれだけ減ったということである。それが国内農業・農家、さらには2016年度には23年ぶりの低水準(38%)になった食料自給率(食料自給率38%、23年ぶり低水準 台風響き16年度 日本経済新聞 17.8.11)に対してもつ意味は自明である。

 

 少しばかりの輸出増加がニュースになり、これがどうしてニュースにならないのか、訝る所以である。安倍政府の“攻めの農業”ばかり目が行き、“守り”には目がいかないからだろうか。
  
   関連ニュース
 
 農産物輸出好調、1~6月4.5%増 政府目標はなお遠く 日本経済新聞 17.8.11