ブラジル 今後10年でエタノール生産倍増 大豆輸出は世界一 森林破壊はなしと農相 

農業情報研究所(WAPIC)

08.1.12

 ロイターの報道によると、アマゾン森林破壊や2年続きの不作でたまった農家負債をめぐる懸念をものともせず、今後10年、ブラジル農業部門が急拡大を続ける。

 批判者たちは、ブラジルの農業フロンティアの急速な拡大は農業者や伐採者をますます世界最大雨林の奥深くに追い込み、森林破壊を加速すると批判している。しかし、レインオルド・ステファネス農相は、農業部門10年政府見通しを提出したあとの記者会見で、「いかなる森林破壊もなく、なお大きく成長できる」と語ったという。

 Brazil sees sharp farm growth, despite environment,Environmental News Network,08.1.10
 http://www.enn.com/agriculture/article/28961

 この見通しによると、今後10年間でサトウキビ由来のエタノールの生産は113%(つまり2倍以上)、バイオ燃料の輸出は270%増加する。大豆輸出量は2016/17年収穫季までに40%増加して5050万トンに達し、ブラジルは米国を凌ぐ世界一の大豆輸出国になる。

 増産は単収増加や既存開拓地の利用の増加で達成される。大豆生産に使用されているのはブラジルの土地の3%にすぎない。牛肉輸出は1994年以来104%増加し、今後10年でさらに62%増加する。

 政府は先月、森林破壊の増加傾向を覆すべく、違法に伐採された地域からの農産品の販売を禁止した。違法伐採地で生産される牛肉や大豆などの商品の購入、あるいは取引には罰金を科すことにもなる。新たなゾーニング法が環境的に重要な地域の農業を規制することになる。

 先月、地方の政治的ボス、土地投機者、ガンマンに支配されている広大なアマゾン地域に、数百人の警官が増派された。それでも、環境運動家は、政府が統制実施の手段を持っているのかどうか疑っているという。