南米農業 大豆 土壌保全 貧困

パラグアイ新政府 ”機械化”農業・大豆生産を制限 土壌を護り・貧困と闘う

農業情報研究所(WAPIC)

08.9.19

 パラグアイの新政府が、土壌の肥沃度を護り、貧困と闘うために、大豆生産に当てられる土地を制限する。

 カンディド・ヴェラ農業牧畜大臣が9月17日、フェルナンド・ルゴ新大統領[4月の大統領選挙で勝利し、先月就任した元カトリック司教]は”機械化された”農業[恐らくは大規模モノカルチャー農業を指すのだろう―農業情報研究所]の制限を望んでおり、これには油料種子生産が比較的まばらなミシオネス・ニェエブクの南部2県における大豆栽培の禁止も含まれると語ったという。

  Paraguay's New President to Limit Soy Production,soyatech.9.18
 http://www.soyatech.com/news_story.php?id=10342

 大臣によると、「機械化された農業は、貧しい農民が」、大部分はブラジルから入って来る「アグリビジネス農民に彼らの土地を売る誘惑に勝てないから、首都・アスンシオンをはじめとする都市 を取り囲む貧困地帯の形成の原因をなしている」。

 パラグアイはブラジル、アルゼンチンに次ぐ南米第三の大豆生産国で、昨年は600万トンを生産、今年の収穫はさらに200万トン増える見通しだ。

 パラグアイ最大の農民団体の最左翼のリーダーは、09年に課されるこの制限を歓迎、「大豆は年3回収穫され、肥沃な土壌を酷使するから、土壌は20年以内に不毛になる。大豆農民は農薬で環境も汚染する」と言う。

 しかし、大豆生産者協会のクラウディア・ルーサー会長は、政府はパラグアイの生産能力を傷つけようとしていると言う。土地無し農民による相次ぐ農地侵略に不平を鳴らし、もしこんな状況が続けば、アルゼンチンのように、何ヵ月もの農民ストライキで国が麻痺するだろうと脅す。


 ブラジルを初めとする南米諸国は、輸出農業やバイオ燃料による開発に駆り立てられてきた。それは、食料生産小農民からの土地収奪、貧困化の加速、環境破壊といった犠牲を伴った。この動きに歯止めをかけようとする初めての試みが現れた。画期的なことだが、恐らくは暴力的に粉砕されるだろう。