アルゼンチン 100年来の干ばつで小麦は半作 トウモロコシ・大豆も大減収

農業情報研究所(WAPIC)

09.1.22

 農畜産物の大輸出国・アルゼンチンがこの100年で最悪と言われる干ばつに襲われている。08年全体を通じて雨が少なかったが、農業中心地帯の10州の干ばつは最近数ヵ月に一層厳しくなった。世界で最も肥沃な地域の一つとされる60万㎢のパンパ草原地帯の状況が特に厳しい。

 飼料不足で、サンタフェ州北部だけでも30万頭の牛が死に、残った牛も生き残りが難しくなっている。アルゼンチン農村連盟(CRA)の書記長によると、主要作物の小麦、トウモロコシ、大豆、ヒマワリの現在の収穫は、大豆の4700万トンを含めて9700万トンに達した去年より3000万トン少ない。

 国立農業技術研究所(INTA)の報告によると、パンパ地域の多くの部分の降水はこの100年で最低だった。この干ばつで、小麦生産は700万トンから800万トン減少、去年の1600万トンの半分ほどに減る。小麦収量はこの30年来の最低で、トウモロコシ、大豆、ヒマワリも、どう見ても過去数年の生産量を大きく下回る。

 INTAは、既に収穫を終えた小麦以外の推定収穫量を示していないが、CRAは、トウモロコシは去年の2200万トンから1500万トンに、大豆は同じく4700万トンから3700万トンに減ると予想している。

 AGRICULTURE-ARGENTINA: Worst Drought in 100 Years,IPS,1.21
 http://ipsnews.net/news.asp?idnews=45498

 主要穀物と大豆の国際価格は、昨年のピーク時に比べれば大きく下がった(とはいえ、オーストラリアの干ばつを契機に始まった値上がり前の倍近いレベルにある)。アルゼンチンの干ばつでこの動きが反転するかもしれない。

 値上がりによる世界的増産の期待は、資材価格上昇による生産コスト上昇、金融危機、そして気候変動によって裏切られつつある。