農業情報研究所農業・農村・食料ラテン・アメリカニュース:11年8月1日

ブラジルが南アに初のコメ輸出 タイと張り合うと意気込む輸出組合だが・・・

  ブラジルの南アフリカへのコメ輸出が始まった。先週、サンタ・カタリーナ州のコメの船荷がサントスの港を離れ、南アフリカに向かったという。

 南アフリカ・ダーバンで開かれた”ライス・アフリカ・アウトルック”会合の傍ら、州コメ輸出組合長が語ったところによると、組合は2009年から南アフリカへのコメ輸出を模索し始めた。南アフリカはパーボイルド・ライス(籾のまま蒸しあとで精米したコメ)の最も有望な市場と認められた。南アフリカはナイジェリア、象牙海岸に続くアフリカ第三のコメ輸入国で、1994年の全人種参加選挙後、多数派黒人層の所得増加に伴うトウモロコシ食からコメ、パン食への移行により、コメ消費は倍の年76万トンに増えた。

 先週、組合に加入する18の精米工場からの初めての輸出にこぎ着けた。最初は月平均40のコンテナ(1000トン)輸出を目指す。そうすることで、値下がり要因となる国内余剰米を減らすのだという。

 組合は世界最大のコメ輸出国・タイとも張り合うつもりだ。輸出精米工場は、来年までに30%増産を目指す。

 Brazil begins exporting rice to South Africa, competing with Thailand,Merco Press,7.29

 タイとベトナムに支配される世界コメ市場の異変を予想せねばならないのだろうか。州組合の意気込みにもかかわらず、それはなさそうだ。下の図に示すように、ブラジルの年々のコメの生産量と消費量は概ね800〜900万トンで拮抗しており、世界市場に異変を起こすほどの余剰(輸出余力)は生まれそうにない(少なくとも近い将来には)。