北米の異常低温と早霜、作物への脅威が広がる

農業情報研究所WAPIC)

04.8.31

 何年来の干ばつに悩まされてきた北米が、8月の異常低温による作物被害の脅威に曝されている。

 米国北部やカナダが異常な低温、ところによっては異例の早霜に襲われている。ネブラスカやアイオワでは、低温のためにコーンや大豆の成熟に遅れが出ている。先週は気温があがり小康を得たが、9月初めの2週間は低温が戻ると予想されている(Weather sows doubts on Nebraska and Iowa's harvest estimates, experts say,Omaha World-Herald,8.25)。

 これら2州だけではない。ミネソタ公開大学の農学専門家は、ノースダコタからミシガンまでの中西部北部では、コーンと大豆の正常な収穫のためには、記録上最も暖かい9月にならねばならず、平年を上回る日中・夜間気温が4週間から6週間必要だが、こんなことは誰も予測していないと言う。

 農業統計局の州支所は23日の週間農業天気予報で、北部諸州の平均気温は平年を華氏で6度から8度下回り、先週のミネソタの平均気温は平年を8.5度下回ったと発表した。ウィスコンシンの統計局は、過去12週で気温が平年を下回ったのが10週に及び、植物の正常な生育を遅らせた。木々は早くも色づく兆候を示し、トマトは成長が止まって、実が熟さない。ミネソタ西部とこれに隣接するノースダコタ、サウスダコタの郡とウィスコンシン北部の一部では、20日に霜が降り、大豆やコーンの葉先が枯れた。霜の作物への影響を予想するのは時期尚早だが、農民は乳牛に与えるサイレージの不足を恐れている(Warmer weather needed for Midwest farmers to see normal soybean, corn crops,Pioneer Press,8.25

 20日には、カナダのサスカチェワン北・東部、マニトバの南西部も、92年以来と言われる早期の霜に襲われた。記録上最も寒い夏の一つとなった。気温は数時間にわたって凍結温度を下回り、採油用ナタネ(カノーラ)や穀物の品質や収量への影響は避けられそうもない。打ち続いた干ばつに続く冷夏、多くの農民が「ノックアウト」寸前という(Frost's toll on Canadian crops greater than expected- some canola fields will get only half the forecast yield,Toronto Star,8.25)。