米国作付予想 大豆の大幅増加にもトウモロコシが減少 飼料・畜産物価格上昇に拍車

農業情報研究所(WAPIC)

08.4.1

 米国農務省農業統計局(NASS)が 3月31日、3月はじめの2週間の間に行われた生産者とのインタビューに基づく今年の農作物作付予想面積を発表した。

 飼料用消費の世界的増加と燃料エタノール原料としての需要増加で小麦や大豆を犠牲に増加してきたトウモロコシの作付面積は8,600万エーカー(3,440万f)と予想され、1994年以来最高を記録した昨年から8%減る。価格面で他の作物が有利になったこと、トウモロコシ生産資材の費用の上昇、輪作の考慮が要因という。

 他方、大豆は昨年を18%上回る7,480エーカー(2,990万f)、小麦も6%上回る6,380万エーカー(2,550万f)に増えると予想される。米国農業者も、食用油・食料用消費の世界的増大と米国の供給力の制約から生じたこれら作物の価格高騰に漸く反応しはじめたということのようだ。

 http://usda.mannlib.cornell.edu/usda/current/ProsPlan/ProsPlan-03-31-2008.pdf

 この発表を受け、シカゴ商品取引所の大豆と小麦の先物価格は急落した。これで、食用油やパンなどの基礎食料の価格高騰に一定の歯止めがかかるかもしれない。しかし、それで安心とはいかない。トウモロコシ価格は急騰した。

 飼料価格はますます高騰、畜産は追い詰められ、消費者は拍車がかかる肉・牛乳・卵の価格上昇に苦しむことになるだろう。米国エタノール工場の破綻も増え、エタノール用トウモロコシ需要にも陰りが現われるかもしれない。しかし、それでトウモロコシ価格も下落に向かうと見るのは甘すぎる。動物性食品消費、従って飼料用需要が増え続けるかぎり、トウモロコシ価格は高止まりか、上昇を続けるだろう。