メキシコ 米国からの食肉輸入を停止 米国の原産国表示義務化に抗議

農業情報研究所(WAPIC)

08.12.27

  メキシコが9月30日に発効した米国の義務的原産国表示制度(COOL)に抗議、少なくとも30の米国食肉工場からの食肉輸入を停止した。

 COOLは生鮮牛肉・豚肉などの一定食品の原産国表示を義務付けるもので、米国のスーパーや小売業者は輸入品の原産国も表示せねばならない。しかし、これは米国消費者の国産愛用を招き、とりわけ輸入畜産物を差別的に待遇するものとして、カナダやメキシコがWTOに提訴している。カナダ政府は今月1日にWTOに提訴した*。メキシコ政府は1週間前に提訴したばかりだが、紛争処理過程が始まる前に実力行使に出たということのようだ。

 米国農務省の発表によると、メキシコに輸出できなくなった食肉工場には、スミスフィールド、タイソンフーズ、カーギル、コナグラ等大手食肉企業の多数の大規模工場が含まれる。タイソンフーズのスポークスマンによると、メキシコからの事前の警告はなく、国境で荷が送り返されてはじめて事態を知ったという。同社の統計によると、2008年の38億ドルの国際販売のうち、23%がメキシコ向けだった。26日のシカゴ商品取引所の牛・豚肉先物相場は急落した。

 Internet Patrol: Mexico Suspends Purchases From 30 Meat Plants,Cattle Network,12.26
 http://www.cattlenetwork.com/Beef_Cattle_Hot_Topics_Content.asp?ContentID=279230

 飼料・資材価格高騰と金融危機に始まる食肉需要減退で青息吐息の米国食肉産業に追い討ちがかかった。北米における食肉貿易摩擦の激化は避けられそうにない。とばっちりは日本にも及ぶかもしれない。

 *http://w01.international.gc.ca/MinPub/Publication.aspx?isRedirect=True&Language=E&publication_id=386637&docnumber=232