米国 増加する食品廃棄 気候変動や化石燃料・淡水の過剰消費に促すー新研究

農業情報研究所(WAPIC)

09.11.26

  米国国立衛生研究所(NIH)の新たな研究によると、米国で廃棄される食品が1974年以来50%も増え、アメリカ人は今や、年に150兆キロカロリー、一人一日あたりにして1400キロカロリーの食品を廃棄している。

 廃棄される食品に含まれる熱量は米国の食料供給とアメリカ人が消費する食料の差から計算した。後者は、体重を食べられた食品に関連づけるメタボリズムの数学的モデルを使って推定した。

 食品がこのように大量に廃棄されるようになったのは安価で・レディメイドの食品が潤沢に供給されるようになったためで、米国における肥満(病)の蔓延ばかりか、気候変動や大量の淡水の無駄な使用など、環境に対する悪影響にもつながっている。

 廃棄食品の分解でメタンや二酸化炭素などの温室効果ガスが排出されるとともに、食べられない食品の生産や調理のために化石燃料を燃やすことになる。また、農業は淡水供給の70%を使用しているが、その相当な部分が廃棄食品のために使われることになる。

 廃棄食品のために、消費される淡水の4分の1が使われ、また年に3億バレル―全消費量の4%―の石油が消費されることになるという。

 Kevin D. Hall et al.,The Progressive Increase of Food Waste in America and Its Environmental Impact,Plos ONE,09.11.25
 http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0007940;jsessionid=66794D1137670EDDE1D4BEC74563F15B