フロリダ農場労働者 食料はどこから来るのか 労働条件改善を求めてスリーデーマーチ 

農業情報研究所(WAPIC)

10.4.20

 数百人の農場労働者、学生、その他の人々が、"No more slaves! Pay a living wage!"と叫びながら、アメリカ・フロリダ中央部のタンパからスーパーチェーン・パブリックスが本部を置くレークランドまで、22マイルを3日かけて行進した。このスリーデイマーチはフロリダ南部の小さな町、イモカリーに本拠を置くイモカリー労働者連合(CIW)―メキシコ・グアテマラ・ハイチ人移民で構成―が組織した。

 農場労働者は、彼らが摘み取るトマト1ポンド(0.45キログラム)あたり1セントの賃上げをパブリックスに要求している。これで、彼らが受け取るの賃金はほとんど倍になる。彼らはまた、スーパーチェーンが一定の基本的労働条件を守らない生産者からトマトを調達することを防ぐ労働者自身が書いた行動基準にパブリックスが調印するようにも望んでいる。

 農場労働者は、「トマトをバケツいっぱいに摘み取って45セントが支払われる」、賃金率は1980年から実質で変わっておらず、1日50ドル(5000円足らず)を稼ぐには4000ポンド(1818キログラム)のトマトを摘まねばならないと言う。

 アメリカの農場労働者は他の多くの労働者保護の恩恵からも排除されている。超勤支払いを受ける権利もなければ、組合を組織することもできない。

 CIWは2001年以来、ファストフードチェーンやフードサービス業者に対する同様のキャンペーンで成功を収めてきた。今度はスーパーチェーンの番という。

 タコベルなどいくつかのチェーンの所有者が2005年、最初にCIWの要求を受け入れた。マクドナルド、バーガーキング、サブウエーがこれに続いた。最近は、CIWと提携したカレッジの学生からの圧力が、アラマーク、ボナペティ、コンパスといったフードサービス業者との協定調印につながり、健康志向のホールフーズも2008年に調印した。

 農場労働者であり、CIWのオーガナイザーでもあるチャべス氏は、この”フェアフード・キャンペーン”の目標は、米国市民に彼らの食料がどこから来るか知ってもらうことだと言う。この運動は、「我々が一層大きな変化を成し遂げられるように、パブリックスのメンタリティだけでなく、 何よりも消費者のメンタリティを変えることを目指している」のだという。

 このキャンペーンは、米国のトマトの半分を供給するフロリダの移民労働者の権利の欠如、奴隷にも等しい境遇を知った学生たちにも支えられている。行進に加わった一学生は、これら企業は学生を広告・宣伝のターゲットにしているのだから、学生は大きな力を持つと思うと言う。

 CIWはパブリックスとの協定を先例に、スーパー業界に切り込もうとしている。このキャンペーンは、トマトを購入する企業はサプライチェーンのすべての者に公正な支払いを確保する責任があるという考え方に基づく。

 ただし、パブリックスは、今までのところ、賃金はスーパーではなく、生産者が決めるものと主張している。そのスポークスマンは、パブリックスに供給する生産者はすべて最低賃金を払っているから満足と言っているということだ。

 Farm Workers Fight for an Extra Cent,IPS,4.19
 http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=51111