農業情報研究所農業・農村・食料北米ニュース:12年4月27日

米上院委員会 農業直接支払廃止法案採択 専らアグリビジネスを助ける商品作物補助に終焉?

 米議会上院の農業・栄養・林業委員会が4月26日、今後10年間の連邦農業支出を247億ドル減らすという「2012年農業改革・食料・雇用法」案を採択した。 

 法案は、実際に作付されていないにもかかわらず、また価格や収量の低下がないにもかかわらず支払われる商品作物に対する直接支払の廃止や、天候や市場の変動からくる農業者のリスクの管理の強化を強調する。

 不要な補助金を廃止し、例えば既存の26の土壌・水・野生動物保全プログラムを13に半減させるなど重複を避けるためにさまざまなプログラムを整理統合し、記録的レベルに達した食料援助―フードスタンプ支出を取り締まることで、補助金支出を大幅に減らすという。

 この法案の起草者は、直接支払の時代は終わる、「重複を廃し、プログラムを簡素化・整理統合することで、農業者と小企業が雇用を創出するのを助けるイニシアティブへの投資を続けることができる」と言う。

 半世紀以上にわたって続いてきた「ジャンク・フードの基となる商品作物を安価にする」補助金制度(健全な食品と農業のためにローカルな食料システムを 米科学者と国連報告官 TPPなど論外,12.3.12)、原材料のコストを引き下げることでADMやカーギルのようなアグリビジネスを助けてきた農業補助金に終止符が打たれるのだろうか。全米トウモロコシ生産者協会、アメリカ大豆協会も、 作物間で公平な所得ベースのリスク管理プログラムは農業者の所得を助けるだけでなく、国家予算削減にも貢献すると、この法案を支持しているということだ。

 法案は上院を通過する可能性がある。ただ、下院による承認は11月まではありそうにない。誰もが”選挙”を遅れの言い訳にするだろうという。

 Senate Ag Committee approves farm bill,Cattle Network,12.4.26
 Senate Farm Panel Approves Spending Cuts 60 Years in Making
,Bloomberg,12.4.27