農業情報研究所農業・農村・食料北米>ニュース:201873

 

米国大豆相場が10年来の最低に 歴史的大豆増産に走る米国農民に想定外の災厄

 

 米中貿易戦争に端を発する米国大豆相場の下落(トランプが仕掛けた対中貿易戦争 米国中西部農民が名誉の戦死?)が止まらない。7月2日のシカゴ先物相場(期近)はブッシェル(27.2㎏)8.484ドル、この10年の最低レベル近くにまで落ち込んだ(→ 穀物・大豆等先物(期近)価格の長期推移US soyabean prices hit nine-year low,FT.com,18.7.3)。

 

 米国農民はトランプ政権下の化石燃料優遇エネルギー政策によるエタノール需要低迷などからくるトウモロコシ不況で大豆の歴史的増産に走っている。今年は1983年年以来初めて、大豆作付面積がトウモロコシ作付面積を上回る見込みだ(US farmers plant more soya than corn for first time since 1983,FT.com,18.6.30)。 

 

 しかし、ここにきての大豆暴落は農民も想定外、戦死者が累々ということにもなりかねない。

 

 大豆下落で好業績が期待される日本のしょうゆメーカー・キッコーマン(バーボンはEU報復で痛手 大豆急落しょうゆに好影響「貿易戦争」日本に余波 東京新聞 18.7.3)も喜んでばかりはいられない。「(報復合戦で)米国経済そのものが落ち込めばマイナスだ」どころではない。原料大豆の大半を供給する米国農民が潰れてしまっては元も子もない。

 

 農民も食品メーカーも、まったく先が読めない世の中になった。