イラク 湾岸諸国への農地リースで農業再建  灌漑投資に期待

農業情報研究所(WAPIC)

09.6.3

  イラクが、農業再建計画の一環として、自国民に供給する食料を生産するための海外農地を求めている湾岸諸国に農地を貸し出す。

 アラブ首長国連邦を訪問中のサミ・アルアラジ国家投資委員会議長が、「我々は、かつて非常に肥沃だったイラクの農地を再建し、そこでの生産から利益を得ようとする投資家を求めている」と語った。但し、パキスタンやスーダンと異なり、イラクでは外国人の土地所有は禁じられている。従って、更新も可能な50年のリースで土地を提供したいという。

 戦争、政情不安定、貧しい環境管理で、イラクの農業生産は重大な後退を余儀なくされてきた。食料はほとんどを輸入に依存、輸入代金は石油収入で支払っている。アルアラジ議長は、イラク農業の生産性低下の主因は灌漑不足が引き起こす土壌の塩化だと言う。外国投資家には、農地提供の見返りに灌漑網の開発を期待する。

 政府は昨年12月、250万fの農地再建計画をスタートさせた。計画は、土地から過剰な塩を洗い流し、河川を清め、かつての「肥沃な三日月地帯」に新たな生命を吹き込むことを目指す。主要農地の再建には180億ドルの投資が必要で、この投資を、食料安全保障のために農地を求める湾岸諸国から引き出そうというわけだ。

 Iraq offers farmland to Gulf investors-Reuters,Trade Arabia,6.1
  http://www.tradearabia.com/news/newsdetails.asp?Sn=AGRI&artid=162305