中国政府系ファンド 食料安定確保を優先 南米に農場を持つ香港商社の株式を取得

農業情報研究所(WAPIC)

09.9.24

  中国の政府系ファンド、中国投資有限責任公司(China Investment Corporation、CIC)が、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイに生産農場を持つシンガポール取引所上場の香港商社:ノーブル・グループの株式の15%を8億5600万ドルで取得する。

 これを伝えるフィナンシャル・タイムズ紙は、この株取得は、昨年の食料危機以後、中国政府が農産商品の供給の安定確保を望むようになったことを最も明確に示すものと言う。

 CIC makes food security a priority,FT.com,09.9.22
 http://www.ft.com/cms/s/0/7061e17e-a796-11de-b0ee-00144feabdc0.html
 または
 CIC makes food security a priority,Financial Times,09.9.23,p.24

 2007年設立当初のCICは、国の外貨準備の収益性を改善することを主目的とする純粋な金融投資会社だとされていた。しかし、大損害を生んだモルガン・スタンレーやブラックストーンへの投資が国内からの轟々たる非難を浴びたのち、石油や鉱物などの天然資源の確保や、国有企業の海外展開を助けることで国益に資することに焦点を当てるようになっている。

 今回の株取得は、2008年の米、小麦、大豆などの食料商品価格の世界的高騰で、食料農産商品の安定確保が最優先目標の一つとなったことを示す。

 15%の株式のCICへの売却の開示にあたり、ノーブルは、協定の核心にあるのは食料にあると述べた。「農産商品に関連したインフラ資産とサプライチェーン管理に共同で投資するための」パートナーシップに合意したのだという。