南ア 土地改革→土地不足の白人農民の新植民地をアフリカ中に漁る

農業情報研究所(WAPIC)

09.10.12

 南アフリカ共和国のTina Joemat- Pettersson農林漁業相が、アフリカリ中に移住(植民)地を求める南ア白人農民の動きを先頭に立って引っ張っている。政府は今までに5ヵ国と交渉、2ヵ国から広大な農業好適地を提供された。

 彼女をこうした行動に駆り立てる一つの要因は、難航する土地改革(土地配分)から生じる国内の土地不足であるという。彼女は最近の農民同盟(AgriSA)年次大会で、政府は白人所有の農地の30%を5年以内に黒人に移転させる計画だが、これによって白人農民が南アに展開する余地はほとんどなくなる、「従って大陸の別の場所に機会を探さねばならない」と述べた。

 彼女によると、白人の土地収奪というジンバブエの悲劇を繰り返さないために、外国土地の確保は不可欠だ。

 もう一つの要因は、アジアや南米の競争者、特に中国、インド、ブラジルとの農地争奪だ。南アを出し抜き、これらの国がアフリカに農企業を設立、アフリカ市場への特恵アクセスを獲得しようとしている。

 当面、コンゴ民主共和国、スーダン、アンゴラ、ザンビア、ウガンダでの土地確保を目指す。アンゴラは既に、極上農業地域の総面積14万ヘクタールに上る2つの農場を提供した。ウガンダも首都・カンパラ近くの17万ヘクタールを提供した。スーダン南部の農業生産再興は、南アの紛争地域和平・復興計画の一環をなす。

 モザンビーク、ナミビア、ボツワナ、レソト、スワジランドとの協定や、ブルンジとの農業関係確立計画も既にある。その他の国々はAgriSAと直接接触、南ア農民の誘致で商業的農業確立を目指している。これらの国には、食料援助や輸入を必要としながら1000万ヘクタールの遊休農地を持つコンゴ共和国、民間部門による人工水路沿い農業生産再興を望むリビアが含まれる。

 ザンビア人の間には、白人農民がアパルトヘイトを作り出そうとしているという受け止め方もある。しかし、農林魚業相は、”これは、アフリカ大陸の人々の間の平等な関係だ”と言っているそうである。

 Government drive to set up white SA farmers in Africa,Business Day,09.10.12
 http://www.bday.co.za/articles/Content.aspx?id=83696