オーストラリア 中国人の大農場買収が急増 動機は? 不可解で不気味

農業情報研究所(WAPIC)

10.4.15

 中国のオーストラリア農場投資が過去6ヵ月の間に10倍にも増えた。裕福な中国人が牛肉・綿花・穀物農場を買い集めている。外国投資審査委員会(FIRB)による住宅地外国投資に関するル―ルの緩和(2008年)をきっかけに、オーストラリアの大農場があり余る金の安全で有利な投資先として浮上したらしい。

 生産物の売り先は中国の巨大な胃袋が保証しているというのだろうか。ただ、農村を地盤とする野党・国民党のリーダーによると、中国人バイヤーは、農業生産よりも石炭など農場の地下に眠る鉱物に目をつけているのかもしれない。

 China Investment in Australian Farms Rises 10-Fold, Agents Say,Bloomberg,10.4.15
 http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601012&sid=aLr5dhP113ZU

 中国人による最近の大規模な農場取得の動きは、ニュージーランドでも物議をかもしている。カナダでも中国人が農地取得を目指して暗躍している。

 http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/agrifood/overseainvest/landgrab-infolist.htm#NZ
 http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/agrifood/overseainvest/landgrab-infolist.htm#canada

 中国政府は、中国の海外農地取得はあくまでも中国バイオテクノロジーの成果(ハイブリッド米、あるいはGM作物)を使った海外農業開発協力のためのものであり、韓国、インド、湾岸諸国などの”農地収奪”とは異なると主張してきた。

 しかし、ここにきてのこの動き、政府は関与しているのかいないのか、動機は何なのか。スケールが大きすぎて、小心の日本人には不可解であり、不気味である。