大規模土地取得に代わる途上国農業投資を 国際環境開発研究所報告

農業情報研究所(WAPIC)

10.6.23

  国際環境開発研究所(IIED)が6月22日、途上国における農業生産のための大規模土地取得の正当性を事実上全否定するような報告書を発表した。

 国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、スイス開発・協力機関(SDC)が委嘱したこの報告は、大規模土地取得に代わり、小農民に利益をもたらし・彼らの土地に対する権利を守り・投資企業にも報酬を確保することができるさまざまなビジネスモデルを検討する。それは、農業投資に関するいかなる国際指針も大規模土地取得のあり得る悪影響の最小化にとどまってはならず、地方小農民の機会を最大限にする投資モデルを促進せねばならないと言う。

 議論されるのは、契約農業、管理契約、小作農業、分益小作、ジョイントベンチャー、農民所有ビジネスと上・下流ビジネスのリンクなど、大規模投資家と小農民が互いに利益を分け合うさまざまな方法である。そして、政府や開発機関は、公平なビジネスモデルを促進し、政府や投資家との関係で小農民を支援するためになすべきことが山ほどあると言う。

 日本政府が率先して始めた「責任ある農業投資」の原則作りにどんな意味があるのだろうか。改めて問われる。

 Making the most of agricultural investment: A survey of business models that provide opportunities for smallholders
 http://www.fao.org/docrep/012/al297e/al297e00.pdf
 FAO: Alternatives to large land acquisitions in developing nations,10.6.22
 http://www.fao.org/news/story/en/item/43128/icode/