EU:羊のBSE対策と廃棄物処理が新たな重要問題

農業情報研究所(WAPIC)

2001.10.24

  23日、EUのバーン保健・消費者保護担当委員が最近のBSEをめぐる状況を農相理事会に報告、羊のBSE対策と肉骨粉禁止にともなう廃棄物処理が新たな重要問題となっていることを指摘している。 

 羊のBSEに関しては、4年前から英国で研究が行われてきたが、調査対象として集められたのが羊ではなく牛の脳であったことが最近発覚(日本の新聞でも報道されたから詳しくは述べない)、EUもこの研究の結果に期待してきただけに、バーン委員はこの大失態に失望、これにより一層の「予防」措置が必要になると報告している(注)。欧州委員会は、既に、来年1月から羊のランダム検査を導入することを計画しているが、バーン委員は、いまや一層の措置を考えるべきときであり、近々提案を行うという。この提案には、完璧な追跡システム、人間の消費のために羊から除去されるべき危険部位の拡張などが含まれる。
 (注)人間には移らないとされる羊のスクレイピーのなかに、実はBSEが隠れているのではないかという恐れが否定できないために、英国ではスクレイピーの羊の脳を再調査が行われてきた。その結果がしばらく出ないことになってしまい、消費者の不安が高まっている。
 関連報道
 
BSE fears may tighten controls on lamb sales,Independent,01.10.24
 Query over lamb as fears about BSE spread,The Guardian,01.10.24

 他方、肉骨粉に関しては、最近、動物副産物の処理方法と関連費用に関する報告が出されているが、肉骨粉の処理能力の不足(焼却能力は必要な能力の46%と見積もられる)と危険部位及び肉骨粉の集荷・処理費用に見られる大きなバラツキが浮き彫りになっている。バーン委員は、これにより、これらの危険物質の不法な使用や輸出が生じることを恐れている。

 なお、バーン委員は、今年から始まった検査でBSEが確認された牛の最低月齢は42ヵ月であることから、12ヵ月以上の牛の脊柱の禁止という現在の規制は行き過ぎかもしれないとも述べている。

Mr David BYRNE European Commissioner for Health and Consumer Protection Latest developments on BSE Agriculture Council Luxembourg, 23 October 2001

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