農業情報研究所


日本:北海道廃乳用牛、狂牛病二次検査で陽性

農業情報研究所(WAPIC)

2001.11.21

 

 日本各紙のインターネット報道によると、21日、北海道天塩町の北海道畜産公社道北食肉センターで解体された67ヵ月の廃乳用牛の二次検査(ウエスタンブロット法)で陽性反応が出たもよう。21日の専門家会議で診断を確定するという。

 この牛は、北海道猿仏村の約70頭の乳牛を飼育する牧場から出たもので、狂牛病(BSE)を疑わせる症状は見られなかったという。この牛がもしBSEと確認されれば、多くの牛の病気が気づかれないままでいる可能性が高い。千葉の第一例も最初は北海道で育てられていたことと考え合わせると、その可能性は一層高まる。 感染経路の特定が急務であるのはいうまでもないが、それができなくても、BSEが広範に存在することを想定した対策を取る必要性が出てこよう。

 この牛の枝肉は市場に出ていない、検査が有効に機能している証拠で食肉は安全などという側面が強調されているようであるが、安全「保証」はBSEの「根絶」によってしかできないことを肝に銘じなければならない。「根絶」のためには、感染している可能性のある牛すべてを処分することまで考えなければならないかもしれない。そうした牛の群れを見つけ出すためには、食肉処理に出てくる牛を検査するだけでは不十分である。BSEに感染している牛は、どこに、どれほどいるのか、EUにおける30ヵ月以上の牛(その後24ヵ月以上の一定の牛に拡張)の検査は、何よりもそれを推測し、「根絶」を図るための措置である。

 EU基準を上回る「全頭検査」などと言われているが、食肉処理に出てくる牛だけの「全頭」検査は、このような意味ではEU基準に並ぶこともできない。肉骨紛禁止の拙速な部分解除の動きを見ても、また、処理しきれない肉骨紛が野積みにされ、雨に打たれ、風に飛ばされいても何の対策も講じられないところを見ると、現在の行政に「根絶」への決意があるのかと疑わざるを得ない。そうしている間にも、「根絶」をますます困難にする状況が進展しているのではないかと恐れる。

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