イギリス:新たなBSEの発見、コントロール緩和の希望を打ち砕く

農業情報研究所(WAPIC)

2002.2.8

 いくつかのBSEのケースの発見により、政府が希望してきたBSEに関するコントロールの緩和は遠のくかもしれない。

 7日、北アイルランドで、31ヵ月齢の牛ーこの6年間で最も若いーにBSEが確認された。イギリスは、1996年以来、30ヵ月以上の牛の食用の販売を禁止しているが、31ヵ月はこの境目にぎりぎりであり、症候を示さなかった若い感染牛が食用肉に入り込んでいるのではないかという深刻な疑問を投げかける。3週間ほど前には、ウエールズで母子感染による29ヵ月の感染牛が食肉市場に流れる事件も起きている。

 もう一つは、イングランドにおいて、96年の動物蛋白飼料全面禁止以後に生まれた牛のBSE感染が、この8週間に7件発見されたことである。同様なケースは2000年6月から2001年8月までの間に6頭に見られただけであるり、このような牛でのBSE発生は加速しているようにみえる。偶然か故意の飼料混入、牧草汚染など、感染ルートが改めて調査されているが、潜伏期間の長いことが問題解決を難しくしている。

 食品規格局(FSA)は、これらのケースは、5月に始まる「30ヵ月ルール」の見直しー一層のBSEコントロールーの際に、その他の事実とともに考慮されると言っている。

 なお、"The Irish Times"によれば、北アイルランド農業省及びFSAは、BSEが確認された低月齢の牛の感染源は、この牛が肉骨粉を与えられていないことから、母子感染とみている。この牛は、30カ月以上であるために1996年に屠殺された牛の子である(BSE in Northern Ireland calf was case of maternal transfer of disease,The Irish Times,2.9)。

 Discovery of BSE cow dashes hopes of reducing controls,Guardian,2.8
 FSA Press releases:BSE case found in Northern Ireland not a food safety risk, says FSA,2.7
 FSA Press releases:Agency calls for BSE offspring cull backlog to be tackled,1.14

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