農業情報研究所


アイルランド:高齢牛の積極的淘汰政策は無用ー食品安全庁報告

農業情報研究所(WAPIC)

2002.3.22

 アイルランド食品安全庁(FSAI)が(BSEから消費者を護る追加手段としての)高齢牛に的を絞った淘汰措置のフィージビリティに関するレポートを発表した(A Study of the Feasibility of a Targeted Cull of Cattle for BSE,02.3)。これは、昨年8月、保健児童相から助言を求められて行なわれた研究の結果である。

 この研究によれば、アイルランド国内の牛に関しては、BSEは病源体に汚染された肉骨粉を食べた1998年以前に生まれた高齢牛に限られている。その比率は小さく、病気はこれらの牛が死亡し、国内牛群から除去されるに応じて減るであろう。従って、既存の規制が厳格に守られていれば、1998年1月以前に生まれた牛に的を絞った淘汰で特に食品安全性がを高まるわけではない。

 1998年1月以後に生まれた牛も、汚染肉骨粉に暴露されておらず、BSE潜伏はありえないから、消費者の健康へのリスクはない。昨年からは、サーベイランスの強化、30ヵ月以上のすべての死後検査、98年以前に生まれた牛からの脊柱の除去などの規制も追加された。

 これらのことから、レポートは、積極的淘汰政策は、食品安全の観点からは、何の追加的利益はないと結論している(ただし、このレポートは、あくまでも国内の牛から生じるリスクだけを評価したものであることは注意しておかねばならない)。

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