農業情報研究所


イギリス:食品基準庁、羊の腸の使用禁止をEUに勧告

農業情報研究所(WAPIC)

02.6.26

 以下は、6月24日のイギリス食品基準庁(FSA)の発表(Agency takes further precautionary measures on risk of BSE in sheep)の要旨である。

 FSAは、羊のBSEの理論的リスクに対する予防措置として、羊の腸の食用利用を禁止すべきであると欧州委員会に勧告した。FSAによれば、提案した禁止により、もしBSEが羊に発見された場合には、食品チェーンに入る感染性は3分の2減らすことができる。この措置の実施にはEUワイドでの合意が必要で、それまではラム・ソーセージのケーシングの売買は合法としている。

 FSAは、羊にBSEが発見された場合には、感染性はマトン・腸・リンパ節で比較的大きいというリスク評価の結果を受け入れたが、リンパ節の除去はコストが余りに高く、達成困難として受け入れなかった。

 FSAは、さらに消費者を保護し、情報を与えるための措置を提案することにも合意した。これらの措置には次のものが含まれる。

 ・最も影響を受けると思われるムスリム及びアフリカ系カリブ人のコミュニティに対してマトンと山羊の感染性の高い理論的リスクを知らせる。

 ・両親の最大限の選択を可能にするために、ベビー・フード製造者に対して、様々な国の羊BSEリスクに関するEUの情報と併せたラム製品への自主的原産国表示に合意するように求める。

 ・伝達性海綿状脳症(TSEs)排除のための国家スクレイピー計画の加速の支援。

 ・羊・山羊製品に使用に関する完全な監査の委嘱。

 羊のBSEの理論的リスクは、次の理由で存在する。

 ・BSEの牛に与えたと同じ飼料を羊が食べたこと、

 ・人工的に羊にBSEを感染させることができると実証されてきたこと、

 ・BSEが羊のスクレイピーに隠されており、群れの間や母から子に移る可能性があること。

 イギリスの羊の群れにBSEは発見されていないが、今までにごく少数(約200)のスクレイピー感染羊が検査されただけである。

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