農業情報研究所


フランス:食品衛生安全機関、農水省の予防規則遵守状況調査を批判

農業情報研究所(WAPIC)

02.7.24

 7月18日、食品衛生安全機関(AFSSA)が、農水省獣医機関が行なった屠殺場での牛の特定危険部位(SRM)除去に関する調査の結果に関する意見(Avis relatif aux résultats de l'enquête menée par les services vétérinaires sur le retrait des MRS bovins)を発表した。この調査は昨年9月から10月にかけて行なわれたもので、調査結果は、今年3月13日に農水省食糧総局によりAFSSAに伝えられた。このような情報は、AFSSAが待ち望んでいたものであり、AFSSAは、この調査の結果と結論の分析、重大な問題点の確認を、その内部組織である伝達性海綿状脳症(ESST)特別専門家委員会(CES ESST)に委託した。今回、このCES ESSTの5月31日に出された意見が公表されたわけである。

 この調査は、牛の識別に関する規制、枝肉とそれから派生する諸製品のトレーサビリティ、SRMの除去などを対象とするものであったが、最大の焦点はSRMの除去が適切に実行されているかどうかであった。発表によれば、フランスの屠殺場における衛生規則適用状況は非常に不十分なものであるし、調査も屠殺場全体の状況を十分に反映していない。

 農水省の報告も、検査された1000の枝肉サンプルの10%に脊髄の断片が附着していたことを認めている(ただし、これら1000のサンプルすべてはBSE陰性であった)。腸や脾臓の除去については、まったく情報がない。意見書は、人間の消費やBSE病源体による感染の検査に向けられる脳の採取の「質」についても疑義を表明している。また、問題が多い多くの小規模屠殺場が調査対象となっていないことも問題としている。総じて、フランスの屠殺場は消費者を保護するための予防措置を遵守していないと強調している。なお、枝肉のトレーサビリティー枝肉と生きた牛の照応関係ーは100%確保されているという。

 ただし、この調査は、脊髄の吸引除去を義務づけた2002年1月1日以前の状況にかかわる。それ以後には脊髄除去に関する改善があるかもしれない。AFSSAは、より適切なサンプルに基づく、近い将来の再調査を勧奨している。

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