カナダ政府、BSE検査拡充のためのサンプル収集戦略を発表

農業情報研究所(WAPIC)

04.9.18

 カナダ食品検査局は17日、BSE検査を受ける牛の頭数を増やすためのサンプル収集戦略を発表した。国家サーベイランス計画は、BSEに感染している可能性が最も高い牛―30ヵ月齢以上の死亡牛、病牛、歩行困難な牛(ダウナーカウ)、神経症症状を呈する牛を標的とする。検査局は生産者がこのような牛を報告するのを奨励するための教育キャンペーンを始動させる。

 キャンペーンは、全国の生産者が報告できるフリーダイヤルの利用を促がす。また、この計画への参加を促がすために、検査と屠体処分に関連する生産者の費用を補償するための財政援助も行う。局と協定を結ぶ死亡牛集荷業者、レンダリング業者、獣医も、サンプル採取、トレース、検査される屠体の保管に関連した追加費用の補償を受けることができる。このために、今から05年12月までの間に、410万ドルの予算を計上する。05年以後についても財源を確保する。

 アルバータ州もこの計画を全面的に支持、補償額上積みのための資金を提供する意思を表明している。今後、他の州の参加も求め、国と州の共同事業化を目指す。

 なお、カナダは今年、8,000頭の検査を計画しており、今までに5,697頭を検査した。検査結果はすべてウエブサイトで公表しており、陽性の牛は出ていない。来年からは年に3万頭以上に増やすことを目指している。 

 アンディ・ニッチェル農業農産食料相は、「全生産者の参加による堅固なサーベイランス計画は、国際市場を維持し、拡大するための努力の決定的に重要な一環である。わが国肉牛が厳格に監視されていることを国内・国際市場に保証するのに十分な牛を検査することが非常に重要だ。我々は、BSE発見のために責任ある行動を取っていることを世界に示す必要がある」と言う。

 カナダは、97年以来、一定の哺乳動物蛋白質を反芻動物に与えることを禁止してきた。今年7月には、交差汚染防止の観点から、牛の特定危険部位をすべての動物の飼料やペットフードから排除する方針を発表したが、まだ実施にいたっていない。このサーベイランスは、カナダにおけるBSE発生状況を確認し、この措置が有効であったかどうかの判断の一つの材料を見つけ出そうとするものだ。ただ、生産者の自主的参加を促がすだけのこのような戦略では、結果は必ずしも十分に信頼できるものとはならない恐れもある。

 今年8月に発表された欧州食品安全庁(EFSA)の最新のカナダに関する地理的BSEリスク評価は、生きた牛と肉骨粉の輸入によりBSEが侵入した可能性は高く、その国内での再生産を防ぐ措置は米国とほとんど同様に不十分であるとして、とりわけ適切なレンダリングと飼料連鎖からの特定危険部位・死亡牛の排除、必ずしもBSEの兆候を示していない死亡あるは緊急屠殺成牛の検査によるサーベイランスの改善を勧告している。