英国、vCJDリスクのある血液製品を11カ国に輸出

農業情報研究所(WAPIC)

04.9.30

 英国・タイムズ紙が27日、英国は90年代末、少なくとも11カ国に変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD、BSEの人間版とされる)の病原体に汚染された可能性のある血液製剤を輸出したと報じた。これらの製剤は、献血後にvCJDを発症した9人の血液から製造されたものだからである。

 同紙は、これらの国とそれぞれの国への輸出量(ユニットの数)も掲載している。再掲すると次のとおりである。( )内は輸出されたユニットの数を示す。

 アイルランド(83,500)、ブラジル(44,864)、ドバイ(2,400)、インド(953)、トルコ(840)、ブルネイ(400)、エジプト(144)、モロッコ(100)、オマーン(100)、ロシア(23)、シンガポール(3)。

 英国保健当局は、このうち、CJD事例委員会で中高位のリスクがあると判断された5カ国に通知したという(他の6カ国は知らされないまま。この5カ国の名は明らかにされていない)。今月21日には血液製品を通じてvCJDに感染しているリスクのある6,000人の英国人に通知したが、これらの国への通知はこれに続く同様な意図の措置のようだ。

 製品には血液凝固剤やポリオ・ワクチン(アイルランドの場合)が含まれる。

 BBCによると、インドは通知を受けていないようであるが、インド保健省は薬品監督官に調査と輸入品の追跡を求めたという。薬品監督官は、血液製品輸入のためにインドで登録されている二つの英国企業に、英国人の血液が製品調整に使われたかどうか明らかにするように求めた。

 血液を通してのvCJD感染は、昨年末と今年になって発見された二人の患者の事例で、理論的可能性から現実にあるかもしれないものに変わった。BSEに続き、英国は再びvCJDを世界に撒き散らすことになるのだろうか。もっとも、既に潜在感染が起きているとすれば、これは英国に限った話ではなかろうが。

 ニュース・ソース
 Britain exported blood products with vCJD risk,The Times,9.27
 Indian probe of 'mad cow blood',BBC News,9.28
  'Name vCJD-risk countries' call,BBC News,9.27
  Vache folle : le Royaume-Uni a exporté largement des produits sanguins à risque,Le Monde,9.28

  関連情報(農業情報研究所)
 輸血によるvCJD感染をめぐり6,000人に警告ー英国保健省,04.9.22
 発症例皆無の遺伝子型患者にvCJD潜伏輸血感染発見、高まる人→人感染のリスク,04.8.7