フランスで山羊のBSE確認、EUレベルの専門家委員会の評価へ

農業情報研究所(WAPIC)

04.10.29

 欧州委員会が28日、フランスでBSEと区別できない山羊の伝達性海綿状脳症(TSE)が発見されたことについて、専門家委員会での評価のためにフランス当局から提出されたデータを英国・ウェイブリッジのEU基準試験所に提出したことを明らかにした(Commission submits French Research Findings on TSE in a goat to Expert Panel)。これがもしBSEだとすれば、今まで理論的にあり得るとされながら、自然状態(実験以外)では決して発見されなかった羊・山羊といった小反芻動物におけるBSEの存在が初めて確認されることになる。

 EUは、羊と山羊にスクレーピー(羊のTSEで、人間には感染しないとされている)に隠れたBSEが存在するかどうかを確かめるために、小反芻動物の疑わしいTSE株を検出するためのEU規模のサーベイランスを行ってきた。02年以来、山羊は14万頭が検査された。フランスの今回のケースはこのプログラムで発見された。この山羊は02年に屠殺された健康な山羊で、無作為に検査対象として選ばれたこの山羊の脳にTSE陽性の反応が出た。通常のスクレーピーの株と違うため、さらに2年間の研究が行われた。フランス専門家の結論は、BSE陽性と考えられるというものだった。同一の群の山羊はすべて殺処分され、300頭の大人の山羊はすべて陰性だったという。

 EUでは、小反芻動物中のBSEの存在は、理論的可能性から現実的可能性に変わったとして、既に肉骨粉の形での動物蛋白の給与の禁止、特定危険部位(12ヵ月以上の羊と山羊の脳と眼を含む頭蓋、扁桃、脊髄、すべての年齢の羊と山羊の脾臓、回腸)の食料と飼料からの排除、スクレーピーに感染した動物群の処分、TSEサーベイランス・モニタリングといった安全策を全加盟国に課してきた。しかし、専門家委員会の検討結果を待ち、さらなる措置が必要かどうか、欧州食品安全庁(EFSA)が検討することになる。

 わが国も特定危険部位の除去など、一定の安全策は既に取られているが、専門家の評価の結果次第では、さらなる措置が必要かどうか、早急な見直しが必要になるかもしれない。