米国、BSEを疑われた最新のケースはシロと確認

農業情報研究所(WAPIC)

04.11.24

 米国農務省(USDA)は23日、18日にBSEスクリーニング検査で陽性とされたケースは陰性と確認されたと発表した(Statement by John Clifford, Deputy Administrator Animal & Plant Health Inspection Service)。アイオワ・エームズのUSDA獣医学試験所における2度にわたる免疫組織化学検査で陰性と確認されたために、このケースが陰性という結果は信頼できると言う。今のところ、それ以上の詳しい情報は一切ない。

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 追記(11.24 13:40)

 その後に出たニューヨーク・タイムズ紙の記事(Suspicion of a Mad Cow Case Proves Unfounded, Tests Find,11.24)によると、消費者連盟の上級提携研究員のハンセン博士は最終確認結果に懐疑的で、サンプルを英国に送って再検査すべきだと言っている。バイオラッド検査が繰り返された場合には擬陽性が出る率は非常に少ないと言う。記事は、農務省のスポークスマンは先週、スクリーニング検査は3回繰り返したと発表したが、昨日は2回だったと訂正した事実も伝えている。それならば、擬陽性が出る確率は高まるということだろう。しかし、このこと自体、米国の検査の不透明さを物語る。

 ハンセン博士は、確認検査で脳のどの部分を調べたのか、詳細を知りたがっている。スクリーニング検査では、通常、脳幹閂部だけを使用するが、プリオンは脳の様々な場所に蓄まるから、確認のための免疫組織化学的検査のために脳全体を送るべきだと言う。農務省はこうした詳細は一切明らかにすることなく、再検査は無用とはねつけている。

 また、ワシントン・ポスト紙によると(USDA Rules Out Mad Cow Disease in Animal,11.24)、ハーバード・リスク分析センターのリスクコミュニケーション部長として成り行きを注意深く追ってきたデビッド・ロペイク氏も、「シロ?驚きだ」と語ったという。

 同様な日本の検査でも擬陽性はたびたび出ているから、今回のケースが擬陽性であっても不思議はないが、USDAの検査には米国内でも全幅の信頼がないようだ。最終的にシロということで、このケースの地域も年齢も結局は伏せられたままになるし、まして検査のやり方が詳細に公開されることもないだろう。我々も、この結果を半信半疑で受け止めるほかなさそうだ。