EU専門家、山羊のBSE確認にはなお2ヵ月が必要 山羊乳の安全性では暫定意見

農業情報研究所(WAPIC)

04.11.29

 今月1日、山羊のBSEの疑いが濃厚というフランスの研究が伝達性海綿状脳症(TSEs)に関する欧州共同体基準試験所(CRL)の科学者のパネルの検討に付されたことを伝えたが(山羊のBSE発見について―フランス食品衛生安全庁の発表,04.11.1)、25日、このパネルがこのケースに関して利用可能なデータは不完全で、現時点では決定的解釈はできないと結論した(European Commission,Panel of scientists require more data to evaluate suspected case of BSE in a goat,11.26)。パネルは、提出された証拠を評価の後、追加調査を勧告、必要なデータは、およそ2ヵ月以内に利用できるようになるだろうと結論した。フランス食品衛生安全庁(AFSSA)は、疑わしい株のハツカネズミへの接種を含む分析に2年を要し、この疑いを確認するか、覆すことを可能にする補完的結果は、今から3ヵ月待たねばならないとしていたが、パネルも、およそ2年を要する”マウス・バイオアセイ”と呼ばれるマウスの検査を含む一連の確認試験の後に結果が出ると言う。

 他方、フランスでの発見を受け、欧州委員会は羊・山羊のTSEに関連した乳と肉の安全性に関する意見を欧州食品安全庁(EFSA)に求めていたが、同じ26日、EFSAは山羊乳・同製品の安全性に関する専門家作業グループの声明を発表した(Statement of the EFSA Scientific Expert Working Group on BSE/TSE of the BIOHAZ Panel on the health risks of the consumption of milk and milk derived products from goats,11.26)。それによると、専門家は、現在の科学的知見に照らし、健康な動物に由来する山羊乳・同製品は、その原産地に関係なく、TSE汚染のいかなるリスクも呈することはありそうもないと結論した。同時に、乳房炎またはその他の乳房の異常のある動物を排除する通常の慣行によってTSEを含むあり得る感染の排除に追加保証が与えられることを継続して強調するように勧告した。

 乳房炎の場合には、血液・乳間のバリアーが完全にか部分的に有効性を失い、感染性があり得る血液の乳への浸透が起こり得るから、この勧告は重要だと言う。さらに、一定の乳のパラメーター(体細胞数)の分析が健康な乳の追加保証の実際的で有益な指標を提供できるとも言う。

 ただし、これは暫定的アドバイスであり、包括的で数量的なリスク評価は小反芻動物のTSEの発生率に関する一層の科学的研究データが得られるときにのみ可能で、それには相当な時間が要るとしている。山羊の肉やその他の製品については、現段階では暫定的アドバイスもできないとしている。いずれにせよ、山羊の肉と乳の消費に関連したリスクの包括的な数量的評価を行うためには、一層の科学的研究データが必要だと言う。