2000年生まれのBSE患畜 3頭すべてに同一の代用乳 感染源再検討の必要性

農業情報研究所(WAPIC)

05.6.23

 国内20例目のBSE発生に関する北海道の疫学調査の結果が21日に発表された(報道発表資料:http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050621press_6.html)。1歳になるまでに与えられていた飼料には、またもや代用乳・ミルフードAスーパーが含まれている。

 第1例を除く19例についてみると、1995−96年生まれのケース・12例中の8例までがこの代用乳を与えられており、他の4例も同じ工場で製造された別名の代用乳・ピュアミルクを与えられている。

 03年9月に発表されたBSE調査報告書は、それまでの7例(いずれも95−96年生まれ)すべてにこの代用乳に含まれていたことから、その原料・オランダ産粉末油脂が感染源となった可能性は排除できないが、オランダにおける現地調査ではそれに動物蛋白質が混入している確証は得られなかった、オランダのBSE疫学調査もこれが感染源であるという仮説を否定している(*)などとして、最終的に代用乳説を葬り、英国やオランダと同様、肉骨粉交叉汚染説を採ることになった。しかし、これには専門家も強い疑念を提起、「代用乳の原料についての再度の検討により、感染源と感染経路を究明できる可能性がある」としている(**)。

 この調査は、95−96年生まれの患畜が生後1年以内に与えられていた代用乳の原料にかかわるものであるが、2000年生まれの3頭すべてが同じ工場で製造されたミルフードAスーパーを与えられていたとなれば、改めての調査が一層要請されるのではなかろうか。

 なお、99年生まれの2頭が与えられていた代用乳は、カーフトップET(全国酪農業協同組合連合会鳥?飼料工場)とザ・カーフサックル(日清製粉(株)知多工場)及びザ・サワーサックル(同)、フィードバン後生まれの01-02年生まれの2頭に与えられた代用乳は、プレミアムメイラック・あけぼのミルクレプレイサー(明治飼料(株)鹿島工場)、及びカーフトップ(全国酪農業協同組合連合会関東飼料工場)・プレミアムメイラック(明治飼料(株)鹿島工場)・くみあい配合飼料しんミルク((株)科学飼料研究所日向工場)であった。これらの代用乳の原料についても検討する必要があるだろう。

(*)Report on origin of BSE in the Netherlands(http://www.promedmail.org/pls/askus/f?p=2400:1001:13242730396801825::::F2400_P1001_BACK_PAGE,F2400_P1001_ARCHIVE_NUMBER,F2400_P1001_USE_ARCHIVE:1202,20030202.0292,Y

(**)三谷克之輔「BSE調査報告書の問題点と今後の課題」『畜産システム研究会報』第29号(BSEと飼料問題)、7-40頁。

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