米国 牛の小腸の人間食料利用を許す ソーセージ製造者を手助け

農業情報研究所(WAPIC)

05.9.8

 米国食品医薬局(FDA)が6日、牛由来の物質の人間食料(栄養補助食品を含む)と化粧品への利用に関する2004年7月の暫定最終規則(IFR)を修正すると発表した。

 http://www.fda.gov/bbs/topics/news/2005/NEW01229.html

 IFRとは、すぐに施行されるが、同時にパブリック・コメントも受け付け、その結果によっては修正もありうる規則のことである。2004年7月のこれに関するIFRは、特定危険部位(SRM、30ヵ月以上の牛の脳、頭蓋、眼、脊髄、脊椎に隣接する神経組織=背根神経節、すべての月齢の牛の扁桃や小腸の一部=回腸遠位部)、歩行・起立困難な牛(ダウナーカウ、へたり牛)の組織、すべての牛の小腸全体、点検を受けることなく人間の消費に回された牛の組織、機械的分離肉の人間食料や化粧品への利用を禁止した。

  今回は、このうちの牛の小腸全体の禁止を解除する。SRMである回腸遠位部が常に、かつ有効に小腸の他の部分から除去できることを証明するコメント期間中に提供された科学的情報に基づき、もはや小腸全体を禁止物質に指定する必要がなくなったからという。

 米国農務省(USDA)・食品安全検査局(FSIS)も7日、この修正に整合する修正を発表した。FSISは2004年1月のIFRで回腸遠位部をSRMに指定、回腸遠位部から小腸を有効に分離する手続きに関するコメントを求めたが(http://www.fsis.usda.gov/OPPDE/rdad/FRPubs/03-025IF.pdf米国のBSE(第七報):監視・検査の強化、特定危険部位除去の問題点,04.1.13)、小腸が回腸遠位部から安全、有効に分離できると決定したという。

 http://www.fsis.usda.gov/News_&_Events/NR_090705_01/index.asp

 「小腸は伝統的に食品、あるいは特殊なソーセージのケーシングに使われてきた」というから、この決定は、同時に、小腸の利用禁止がもたらした”エスニックな”ソーセージの製造業者の困難を救済する意図ももつ。もし懸案の米国産牛肉・内臓の輸入再開が決まれば、日本の「モツ」利用業者も助けることにもなる。

 今後、これを扱う施設は、回腸遠位部除去手続きを文書化したこと、これらの手続きがHACCPシステムSSOP(衛星標準作業手順)、またはその他の前もって必要なプログラムの一環をなすことを証明せねばならない。FSISは、解かれ・取り除かれた小腸の回腸及び盲腸との接合点から測って少なくとも80インチ(約2m)を除去することが要件を満たすと結論したという。この修正により、米国の生産者と外国のすべての認証された施設は、人間食料用に小腸を製造することを許される。小腸をケーシングに使おうとするソーセージ製造業者は、ケーシングが回腸遠位部から有効に除去されたことを示す文書をFSISに提供する必要がある。規則の発効日は、FSISの検査プログラム職員が規則の条項をいかに検証するかに関する訓練を受けるために、10月7日に設定された。

 なお、FDAの新たなIFRは、その他、乳と乳製品、皮革・皮革製品、獣脂派生品の人間食料と化粧品への利用が禁止されないことを明確に するとともに、獣脂(tallow)中の非溶解不純物の決定のための推奨される方法を再考、利用コストがより低く、より特殊でない設備を必要とする方法に改めるという。

 どちらのIFRも、10月7日に発効、11月7日までコメントを受け付ける。