エストニアで狂牛病の疑い 確認されれば同国初

農業情報研究所(WAPIC)

06.4.25

 エストニア農業省が24日、と畜場での通常のスクリーニング検査で11歳の牛に狂牛病(BSE)陽性反応が出たと発表した。26日には確認検査の結果が出るという。

 Regulaarse seire käigus avastati Eestist BSE kahtlusega lehm
 http://www.agri.ee/index.php?item=1512&action=press&id=2162

 もし陽性と確認されれば、エストニアでの初めての狂牛病発生確認となる。エストニアは、EU加盟国として30ヵ月以上の健康な牛と24ヵ月以上の死亡牛・緊急と殺牛等リスク牛のすべての迅速検査を義務付けられている。

 2003年(EU加盟前)のEU科学運営委員会(SSC)の地理的BSEリスク(GBR)評価によると、エストニアは国産牛が(発症または発症前の状態で)BSE病原体に感染していることが”ありそうだが確認されていない”(GBRV)と評価され、今後も感染する可能性が増えるともされていた。

 http://europa.eu.int/comm/food/fs/sc/ssc/out335_en.pdf

 エストニアは、1980年から2001年までにBSEリスク国から489頭の生きた牛を輸入しており、うち61頭は英国牛だった。1991年のロシアからの独立以前にBSE病原体が入り込んだ可能性がある。肉骨粉(MBM)については、1993年から2001年の間にBSEリスク国から5474トン輸入した。

 他方、MBMを牛に与えることは2001年2月まで合法だった。乳牛・肉牛に肉骨粉を牛に与えることは一般的ではなかったが、与えなかったという証拠はなく、給餌に関しては1980年から2000年までは”不合格”と判断された。レンダリングはエストニアで普通に見られ、その原料には特定危険部位(SRM)や死亡牛を含む反芻動物も含まれる。2000年11月までは、その工程もBSE感染性を減らすには不適切なものだった。従って、レンダリングも”不合格”とされた。SRM除去も2001年半ばまでなく、SRMはレンダリングの原料に含まれ、死亡牛もレンダリングされていた。サーベイランスについては、アクティブ・サーベイランスが2001年に始まったが、死亡牛の検査数が少ないためにシステムは十分に機能していないとされた。

 従って、2000年頃までは、大きなBSE感染性が加工に入り、BSE発生につながった可能性があるということだった。狂牛病が発見されても不思議ではない。平均的潜伏期間は終わりに近づきつつあるが、11歳での確認となれば、今後の発生も十分あり得る。

 なお、世界の発生状況に関する最新数字は世界各国のBSE報告件数(06年4月25日更新)を参照されたい。旧EU諸国では明らかに減少傾向を確認できるが、その他の国ではこの傾向は未だ確認できない。