日本向け輸出承認米国工場が台湾に骨入り牛肉輸出 日本も輸入再開の前に原因調査を 

農業情報研究所(WAPIC)

06.4.29

 中華民国(台湾)行政院衛生署が28日、米国ネブラスカ州のタイソン・フレッシュ・ミート社製の輸入牛肉に骨が混入しているのが見つかり、同社からの牛肉輸入を停止したと発表した。骨混入は、27日夜、台北郊外の中正国際空港税関で発見されたという。

 經查驗出含有小碎骨,已即停止美國該屠宰工廠牛肉之進口(06・4.28)
 http://www.doh.gov.tw/cht/content.aspx?doc_no=44372

 台湾は今年1月25日、2005年6月以来の米国産牛肉輸入停止を解除したが、輸入が許されるのは30ヵ月以上の牛からの脱骨牛肉だけで、それも米国農務省が承認したと畜場と加工工場に由来するもので、米国農務省が出す証明書付きのものでなければならないとされていた(台湾が米国産牛肉輸入を再開 輸入条件緩和の国際的流れに日本はどう対処するのか,06.1.26)。

 米国食肉工場の輸出条件を守る能力、検査能力がますます疑わしくなるとともに、農務省の食肉処理工場承認や証明書発行の過程がいかにズサンなものであるかも示されたようだ。日本、香港で背骨入り牛肉が発見されたのも、恐らく単純なミスのせいではなさそうだ。背骨はまだしも、見分けにくい 脊髄を除去するなど、ほとんど不可能ではないかと思われる。

 なお、この牛肉を処理したのはネブラスカ州のタイソン・フレッシュ・ミート社とされているだけで、いまのところどの工場かは分からない。しかし、ネブラスカにあるタイソン・フレッシュ・ミートの4つの食肉処理場のすべてが日本向け輸出を承認されている。従って、もし日本が輸入を再開したとすれば、この牛肉を輸出した工場から輸出されることになるのは確かである。

 輸入再開をめぐる決定の前には、工場の再点検だけではなく、骨入り台湾向け牛肉が何故輸出されてしまったのかの調査を求めるべきだろう。その結果が出るまでは、輸入再開を決定してはならない。台湾に骨入り牛肉を輸出した工場は日本向けに輸出を許された工場でもあるからだ。この事件は、日本向け牛肉への背骨混入事件と同じ重みを持つ。

 日本向け輸出承認施設→http://www.ams.usda.gov/lsg/arc/evjapanlisting.htm
 タイソン・フレッシュ・ミートの米国内牛肉工場→http://www.tyson.com/Corporate/B2B/FreshMeats/Locations.aspx